シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| ネタバレ感想と考察【エヴァ完結編】

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このページはヱヴァンゲリヲン新劇場版4部作の完結編、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||のネタバレ感想ページです。

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公開日から数日経っていましたが、入場者特典のB5イラストチラシをもらうことができました。
2つ折りになっていてネタバレ注意のため鑑賞後まで開かないよう注意書きがあります。
鑑賞後に開けて見てみると、今作で新たに出てきたワードやストーリーの重要部分となるキーワードがずらりと羅列してありました。
まるで「新しいワードがいっぱい出てきたから今作に関する文章書くとき困るよね!これ使ってね!」と言われているよう……。

まず、「現状あまり見る気はしないけどどんな結末だったか興味はあるのでこのページを見ている」という方へ。
私は正直エヴァに関してはライトな方のユーザーですしあくまで私個人の感想にはなりますが、観に行ってよかったですし納得のいく終わりでした。
「グロくて鬱こそエヴァ!」のような意見の方もいらっしゃるようなのですがグロと鬱を求めているのであれば違うとなるかもしれません。
つまりそこまでスプラッタなシーンもなければ、救いのないバッドエンドでもありませんでした。
ぶっちゃけハッピーエンドと言えると思います。

それでは、以下ネタバレです。

完結編あらすじ

パリ上空、ネルフの差し向けた軍用エヴァを食い止めるマリのエヴァ8号機。
マリの尽力による時間稼ぎの甲斐あってユーロネルフのシステムを取り戻し、アンチLシステムでパリを赤い大地から以前の人間の住まう領域へと取り戻すことができた。
マリは一人宣言した。「どこにいても必ず迎えに行くからね」、と。

アスカの後をついていくシンジとレイ(仮)の3人はニアサードインパクトを生き延びた人間達が生活する第三村と呼ばれる村へ辿り着いた。
パリのように第三村もアンチLシステムによって人間が活動できる以前の姿へ取り戻されていた。
14年前シンジのクラスメイトだった鈴原トウジは生き延びており、シンジたちをあたたかく迎え入れたがシンジは無気力なまま。
シンジには一人で考える時間も必要だと言う相田ケンスケの提案で、シンジはケンスケの家で預かられることになった。
アスカの首のDSSチョーカーを見てカヲルのことがフラッシュバックして嘔吐するシンジ。
アスカは無気力なシンジの様子を見て「本当にガキね」と苛立ち、食事もろくに摂ろうとしないシンジの口にレーションを押し込みながら叫んだ。
「あんたは“もどき”だから食事が必要」「こちとらずっと水だけなのよ」と。
アスカは睡眠もとれない身体になっているようだった。
ケンスケの家を出て廃墟に座り込むシンジ。

一方、トウジ宅でトウジの妻子や村人との交流を重ねるレイ(仮)。
おはようとおやすみの意味、ありがとうを言う時、拾ったものは返すということ。
様々なことを学んだレイ(仮)は、拾ったカセットプレーヤーをシンジに返そうとする。
そんなレイ(仮)に対し、アスカは「アヤナミシリーズもシキナミシリーズも調整されて感情を持たされておりあんたがシンジを気に掛けるのもそのため」なのだと言う。
「それでも良かったと思うからいい」と言うレイ(仮)。
村で何もしないのとレイ(仮)に問われ、アスカは「ここは私がいるところではなく、守るところだからよ」と答える。
レイ(仮)は何もしないシンジに、「あなたも守る人なの?」と問う。
守るどころか世界をめちゃくちゃにした僕になぜみんな優しくするのか、と苦しむシンジ。
「あなたが好きだから、仲良くしたい」と手を差し伸べるレイ(仮)に、シンジはようやく自分の殻に閉じこもることをやめたのだった。

村で生活し始めたシンジ。
トウジはシンジに、自分は医者の真似ごとをしているが救えない人もいるのだと話す。
その人の怒りや悲しみを受け止めることが、“落とし前をつける”ことなのだと。
ケンスケの父はニアサードを生き延びたにも関わらず事故で亡くなってしまったらしい。
父ともっと話をしておけばよかったと語るケンスケ。
ある時、身体の異変を感じ取ったレイ(仮)はトウジの赤子の傍でひとり涙を流す。「これが、寂しいということ」なのだと悟りながら。
レイ(仮)はシンジに「ここで生きたかった」と告げてLCLの液体と化した。ネルフの調整なしに生き続けることはできなかった。
シンジは加持リョウジと名乗る少年と出会う。
彼は加持とミサトの息子で加持はサードインパクト阻止の際に亡くなったのだと後でシンジは知る。
ヴィレに戻る決意をしたシンジをアスカは「規則だから」と間髪入れず昏倒させる。

サクラは戻ってきたシンジの目が覚めるなり「エヴァには乗らんといてと言ったのに」と責めるが、それは決して冷淡なものではなく、アスカが「おかーちゃんか」とツッコむような温かさを含んでいた。
厳重な軟禁状態にされるとはいえシンジにDSSチョーカーがつけられていないことに北上(ピンク髪のクルー)は不満をあらわにする。
北上はニアサードで家族を失った。「ニアサードは結果だし、艦長も贖罪に尽力している」と言う他クルー。
納得しない北上。誰の尿かもわからない液体を綺麗にしたら飲めると言うのと同じことだと手元の飲み水を見て言う。
一人のときに決まってミサトが居るというヴンダー内の空間は、加持の望みだった地球の植物などありとあらゆる種を残すための種を保管している場所だった。
ミサトはリツコに、「私には母親の資格なんてない」「サードインパクトの際に本当は加持と残りたかった」のだとこぼす。
リツコは「あなたのお腹に子がいなければ……許したかもね」と返した。

ミサトにより戦闘配備が発令され作戦行動が始まる。
目標はネルフの第13号機を破壊しフォースインパクトを阻止すること。
ミサトを含むクルーはそれぞれネルフからの離反時に敵味方識別のために使っていたというバンダナを腕に巻いていた。あのとき死別した仲間の形見を。
アスカは白いプラグスーツを「死装束」だと言い、これが最後だからとシンジのもとを訪れた。
14年ぶりに再会したとき、私がどうして怒っていたのかわかるかと問うアスカ。
3号機の使徒化の際、「僕が責任から逃れたからだ」と答えるシンジにアスカは肯定する。
「あんたのことを好きだったけど、私の方が大人になっちゃった」と言ってアスカはその場を去るのだった。

アスカの新2号機が第13号機まで辿り着くがA.T.フィールドが発生して停止させるためのプラグが刺せない。第13号機にはないはずだから新2号機が恐れて発生させているものなのか。
アスカが眼帯を取り去り左目に埋まっていたアンチLシステムと似た形状のものを取り出すと、ヴンダーのクルーへとパターン青・第9使徒の反応が通知される。
「ゲンドウ君の狙いは使徒化した姫か!」とマリが気づくも、第13号機が新2号機を捕食した。
セカンドインパクトで海の浄化、サードインパクトで大地の浄化、そしてフォースインパクトが意味するのは魂の浄化。
地表などにあった無数の首なしエヴァが集まり巨大なレイのような姿になる。
ヴンダーは両翼を破壊されMark.09-Aに侵食され万事休す。
姿を見せたゲンドウをリツコは問答無用で銃撃するがゲンドウのゴーグルの下は人間離れしたものになっており、ゲンドウは飛び散った脳を拾って無造作に頭へ入れた。ネブカドネザルの鍵を使ったためであるらしい。

Mark.09-A侵入によりシンジの部屋のロックが開いたことでシンジが出てきた。
「“落とし前をつける”ためにエヴァに乗る」とミサトに言うシンジに北上は銃を向ける。
シンジの足元をかすめた銃弾を撃ったのは、北上ではなくサクラだった。
エヴァに乗ればシンジはまたつらい思いをするかもしれない。「撃たれた痛みのほうがそれよりましなはず」だと震える声で言うサクラ。
サクラがシンジに向けて撃った弾をミサトがかばって脇腹に受ける。
ミサトは「あのときシンジ君がエヴァに乗ってくれなかったら私たちも滅びていたのだから、感謝している」と語った。
「シンジさんは恩人でもあるけど、仇でもある」と相反する複雑な思いを見せるサクラに、北上は「もういいよ、明日生き抜くことだけを考えよう」と言うのだった。
手当てを受けるミサトにシンジは「行ってきます」と言い、ミサトもまた「行ってらっしゃい」と送り出した。

シンジは初号機でゲンドウの第13号機と対峙する。
周囲はシンジたちの記憶によって様々な景色が見えていてその中で戦うも一向に歯が立たない。
「そういうことではない、力ではないのだ」と諭され、シンジも父さんと話がしたいのだと武器から手を離した。
ゲンドウは他人と接するのが嫌でずっと一人でいたが、ユイと出会いユイを失ってからは、一人で生きていくのが不安になった。
シンジに会わなかったのは、そのほうがシンジにとって良いと思ったからだった。
ここまでして必死にユイを探しても、見つからない会えないとゲンドウは手に顔を埋めてうつむく。
シンジは「それを認めないから会えないんじゃないかな」と指摘する。
そのとき、シンジたちは何かの衝撃を感じ取る。

フォースを止めるためには槍が必要だがもう槍は残っていない。しかし2本の槍が新たに造り出されたところを見ていたミサトはヴンダーを使い槍を造ると作戦を立てる。
自分以外の全てのクルーを脱出させ、ミサトはシンジたちの現在地と思われる巨大なレイに向かって一人でヴンダーを突進させていた。
巨大なレイの手を突き破ってガイウスの槍を届け、ミサトは光に包まれるヴンダーと運命を共にする。
残された人々を頼むと言うミサトの願いに、リツコはベストを尽くすと誓った。
槍を受け取り、ミサトの死を悟り静かに受け止めている精神的成長した様子のシンジに、驚きを隠せないゲンドウ。
シンジは受け取った槍で自身ごと初号機を貫こうとするが、レイによく似た誰かが自分の傍にいるのが見えた。
シンジは、「母さんはこのためにずっと僕の中にいたんだ」と理解する。
「父さんは母さんを見送りたかったんだ」とも。
槍がユイの初号機とゲンドウの第13号機を貫く。
シンジは全てのエヴァンゲリオンに別れを告げる。

カヲルは精神的に成長したようなシンジの様子に「いつもと違うね、でもそれもいい」と言う。
そしてシンジ君の幸せのためを思ってきたけど、それは間違っていたと謝る。
カヲルが出てきた、月面の棺が円環上に多数置かれている描写。
加持に渚司令と呼ばれているカヲル。
加持に老後は農業でもしましょうと言われカヲルはそれもいいかもねと返して、カヲルの心象風景のような景色にシャッターが下りる。
アスカは、本当は頭を撫でて欲しかった褒めて欲しかったのだと過去を振り返る。
まだゲンドウとユイという両親に囲まれている幼い頃のシンジを横目で見ているアスカ。
雪の中一人で座る幼いアスカの隣に、アスカの持つ人形と同じ外見の着ぐるみが座る。その着ぐるみが頭をとると、中にいたケンスケが「それでもいいと思うよ」と言う。
シンジはアスカに、「あのとき僕も好きだったよ」と話した。
最後に、初号機の中にいた髪の伸びたレイも送り出したシンジは浜辺に座って待っていた。
シンジを形作る世界が、色を失い、形も薄れかけたそのとき、シンジの前に降り立った8号機から誰かが海に落下する。
「ギリギリセーフ」だと、8号機も消え鮮やかな景色を取り戻した世界で制服姿のマリが言った。

場面は変わりどこかの駅。
だーれだ、と後ろから目隠しされる、DSSチョーカーをつけている成長したシンジらしき青年。
目隠ししていたのは成長したマリと思われる女性。
「相変わらず」だと言うマリに「君も相変わらずかわいいよ」と言うシンジ。
二人は駅の階段を手をつないで上がっていく。

終劇

感想と考察

以上のあらすじでは可能な限り個人の主観は入れず見たままを書きました。
ゲンドウがシンジに会わなかったのはシンジのことを思うがゆえの良かれと思ってのことだったとか、はっきりとキャラ本人の口から語られた情報もありましたが、
特にはっきりと断定されなかったことはとても多いように思います。
公式での断定がない以上、どんな説を立てても説の域を出ないわけで……
私自身が色々考えたことを書き留めておこうと思いますがあくまで私が感じた私の説でしかないので「こういう考え方もあるんだね」くらいに軽く読んでいただけたらと思います。
念押ししておきますね、妄想です!

アスカのこと

ここに来て、アスカもレイと同じようにシキナミシリーズという人工複製体であることが明かされてわりとびっくりしました。
えっ……私ライトめなユーザーだから自信ないですけどここに来ての新情報ですよね?

惣流アスカと式波アスカでは生い立ちや性格などに差異がありますが、今回の情報が明かされたことで、その差異の原因とは、彼女が複製体という部品として育てられたかそうではないかの違いではないか?と私は考えました。
惣流アスカには母親の存在が明確に語られていますが、式波アスカにはそのような描写はありません。
完結編にてシンジが幼い日に両親といるところを幼いアスカが一人で見ている描写があります。
あれが現実のことだったとすると碇夫婦がいたのはネルフ関係の場所で、アスカは幼いときからそこにいてずっと一人だった。
旧世紀版の惣流アスカも複製体だったかどうかはわかりませんが、とにかく本人の認識としてはエヴァパイロットであること以外は普通の少女として育ったアスカ。あるいは明確に母親の存在が語られている以上、惣流アスカは複製体ではなくシキナミシリーズのオリジナルにあたる子なのかもしれないなとか…。
一方、式波アスカは、ずーっとネルフ施設で育ち複製体であることの自覚があるアスカなのでは。だから、彼女はずっと「自分が特別だ」と言い聞かせている。特別だから一人なのだ、と自分に言い聞かせているように思います。親がいないのも自分が普通でない生まれの人間なのだから当然のことなのだと。
最初は、良い意味での特別(選ばれし存在的なね)と言ってるのかと思ったんですがそれにしてはトーンが低いですし、多分、彼女にとって良くはない意味での特別なんじゃないかなと感じています。
式波は惣流と違ってシンジとシンクロ率で競り合ったりしない。それは自分はエヴァのために造られた複製体でシンジは普通の人間で根っこから違うため比べる意味はないと思ってるからなのでは。
そういう意味で、自分は普通の女の子ではないのだから勘違いしてはいけないと言い聞かせるための「私は特別」なのではないかと。

ゲンドウが破で、「やはりあの二人で初号機の覚醒は成ったな」って言うんですけど
それってシンジとレイという組み合わせ以外にも想定された組み合わせがあったように聞こえますよね。というかシンジとアスカですよねどう考えても……。
シンジはアスカが第9使徒に飲み込まれた時覚醒しなかった。でもレイが零号機ごと使徒に捕食されたときには覚醒した。これはもうあの後アスカが知ったらシンジは自分よりレイを選んだのだと思っても無理からぬことなのでニアサー14年後にシンジがアスカにとって完全に過去の人しかもガキ扱いされててもしょうがないですね……。
というか、レイとアスカで料理の傷跡がレイのほうが多かったのは、シンジへの想いの大きさの差の暗喩である気がしますし、アスカもそう受け取ったのではないかと感じます。「好きな気持ちの大きさで負けた」と。
好きな気持ちで負け、好きな人に選んでもらえない…。惣流という普通の女の子なら精神的に追い詰められたかもしれませんが、式波には逃げ場があります。「自分が特別な存在であること」という自分を囲い守る檻。
村で語った、「ここは私のいるところではなく守るところだからよ」という言葉は、しょせん特別である自分が普通の恋愛や生き方など求めるのがそもそもの間違いなのだと自分に言い聞かせてるのかもしれないな、と思いました。
しかも使徒に侵食されて眠れもしない食べ物も受け付けない身体になってるしDSSチョーカーは着けさせられるし……。
プラグスーツと最低限の下着・上着以外身につけないのも、もはや自分で自分を人間だと扱っていない感じがしました。異性に裸を見られることに頓着しないのも。使徒に侵食される前は、鏡の前で着替えてチェックなどしていたのに……。
アスカは自分を人間扱いしないほうが楽だったのかなとか考えれば考えるほど……。
思えばQでアスカはずっとプラグスーツだったので気づきませんでしたがQでもずっとDSSチョーカーを着けていたのでしょうね。マリもおそらく同じでしょうね。

彼女は自分が何かの部品だと知っていた、それを特別だからという理由で耐えられていた、耐えるためには一人でいるしかなかった、でも本当は誰かに撫でて欲しかったし褒めて欲しかった……。
そんなアスカでもいいじゃないかと言ってくれるケンスケ。
多くのエヴァユーザーにとってこのカップリングも寝耳に水だったと思いますが個人的にはめちゃお似合いでアスカ良かったね…!という感じです。
あと、マリがアスカのことを「姫」と呼ぶのは、一人でいることを生きる方法としているアスカを尊重して適度な距離を保つために名前呼びを避けてかつ親愛を込めての呼称なのかなーと。

カヲルのこと

完結編で加持に渚司令とか呼ばれてるの見て「どういうこと??」とついていけてなかったのは私だけじゃないですよね?そうと言ってください。
カヲルが緑生い茂る田舎道みたいなとこバックに加持と話をしている図の突っ込みどころ多すぎて会話内容が頭に入って来ん……!とか思ってました。
それはそうと、
「レイはシンジの母・綾波ユイのクローン体だったのに対して
カヲルはシンジの父・ゲンドウのクローン体だったのではないか。
カヲルがシンジの幸せのために行動してたのは父性からで、ゲンドウをお父さんと呼んだのはゲンドウがオリジナルで生みの親のようなものだからではないか」
という他の方の説を見てものすごくしっくりきました。
そうだとしたらなんだけど、ゲンドウの若いときってめちゃめちゃイケメンってことやんどうでもいいけど。
カヲルについては上記仮説が納得すぎて私からは特に異論はないです。
この人は見るからに謎やから考察され尽くしとるやろうしね。今のところ以上。

マリのこと

寝耳に水でしたね。まさかのシンジとのカップリング……。
アスカへの態度で百合キャラと思わせておいてからの……。今思えば百合キャラだなんて視聴者を欺くための叙述トリックだったんですねッ!?
ミステリーではよくありますよね……こんな重いものを女性が運べるはずがないと容疑者から除外されたかよわい女性が犯人だったとか……思い込みを利用した古典的かつでもひっかかるトリック……。
これうまく騙してくれると騙された側はわりと気持ちいいんですよ…私はわりと気持ちいいです、今。

私が一番興味深かったのが彼女の存在でした。
彼女の正体だとか謎めいた経歴に興味があるというよりも、この人物はこの物語において何の役割を果たすために置かれたのか、という構造部分にとても興味があります。
なので考えてみました。

まずマリの目的。
これは、彼女の口から二度もはっきりと語られている「どこにいても必ず迎えに行く」ことと考えて差し支えないですよね。その対象とは、彼女が言うネルフのワンコくん…つまりシンジのこと。
マリは破で、「自分の目的に大人を巻き込むのは気が引ける」と呟いています。
エヴァに乗るのも、シンジを“迎えに行く”ためと考えられそうですが……。
その割にマリはパラシュートで落下した際に目的であるはずのシンジと会っても自己紹介すらしない。
彼女の行動と言えば、ひたすらエヴァに乗っている。登場するシーンのほとんどがエヴァでの戦闘シーン。
彼女が代わりに戦ってくれているおかげで、シンジはエヴァに乗らないという選択肢をとれる期間があったのではないかと私は思うんです。
要は、ケンスケがしてくれたみたいに、一人で考える時間を与えてくれていたのではないかと。
シンジが自分で成長するための時間をマリは稼いでくれていた、と言い換えたいです。

なんでそんなまわりくどいことを?
メタ的に言うと、たぶん、この物語がハッピーエンドで終わるにはシンジが自分で成長しなければダメだったんです。
レイの死を受け止められないならダメだし、ミサトに守られているだけではダメだし、アスカと傷のなめ合いをしてるだけではダメだし、カヲルが敷いてくれるレールに甘えて乗ってるだけではダメだったんです。
シンジが何度も失敗してきたことはカヲルの台詞から推察できます。旧世紀版も、失敗の一つなのでしょう。
旧世紀版でマリはパイロットとして登場しないのでマリがどこで何をしていたのかは不明ですが、想像するとしたら破の序盤のように海外のネルフ基地にいたのかな。
登場していない間も、きっとマリはシンジを迎えに行くための行動をしていたんじゃないか……。
エヴァの登場人物で変化があったのはアスカだけではなく、リツコにも変化が見られます。
思い出すのは、カヲルの台詞。
「魂が消えても 願いと呪いはこの世界に残る。意思は情報として世界を伝い変えていく。いつか自分自身のことも書き換えていくんだ」
マリも目的を果たせずに終わってしまった、シンジが失敗したいくつもの世界をどこかで経験していて、自分を書き換えて、やっと破でシンジの傍に来ることができたのでは。
マリにはカヲルと違ってループの記憶などないはずだけど、それでもマリにはわかっていたんでしょう。
シンジを甘やかすだけがシンジのためになるわけではないし、危険から遠ざければ救われるわけでもないし、全てお膳立てしてあげれば幸せになれるわけでもないということを。
マリにできることは、シンジならできると信じて時間を稼いであげること。

動機。
ミステリー好きとしてはホワイダニットは気になるところです。(犯行じゃないけどね)
これはもう……作中で詳しく説明されていない以上いよいよ妄想するしかないです。
なけなしのヒントとして出されていることと言えば、
“おそらくゲンドウにユイを紹介した、ゲンドウの昔からの知り合いであること”
“ネルフのワンコくん”
破でこの呼び名を聞いたときは、なんというか…新選組を壬生の狼って呼ぶアレじゃないですけど…ネルフの使いっぱしりのパイロット?みたいなニュアンス?なのか?って思ってたんですよ。
でも、完結編のアスカの過去回想で見た、ゲンドウ夫婦と幼いシンジ……そう、子犬のような……。
マリはあの頃のシンジを見て、ネルフのワンコくんだという感想を抱いたのではないかと。
そしてその後、ユイが初号機の中へ消えて、ゲンドウはよかれと思ってシンジに会わないことを選んでしまいますね。
急にひとりになった幼いシンジを見て、マリは「どこにいても必ず迎えに行く」と決意したのかな。
マリがそのとき幼いシンジを助けてあげればよかったのでは?という疑問も出てきますが……
うーん……でも……ゼーレやゲンドウが話してる内容からすると、シンジがエヴァに乗ることになることとか覚醒だとか、ある程度元々決まってたことっぽいじゃないですか。
運命を仕組まれた子供たちってやつ。死海文書とか。
冬月が、Qの時点でほとんどゼーレの目論見通りやん的なこと言ってますし。
マリはどうも加持とも接点があるようだしその辺のこと知っててもおかしくない。むしろ詳しそう。
ゆえに、マリはシンジに直接働きかけはせず、来るべき時にシンジの成長する時間を稼ぎそしてシンジが為すべきことを為したその時に迎えに行くためにひたすらエヴァに乗ってたんじゃないかなと……。

ユイのこと

なんでユイさんは幼いシンジを置き去りにすることになるのに自ら初号機に溶けることを選んだんだろう……と疑問に思ったりもしたのですが
おそらくマリと同じで、ユイさんも14歳のシンジに起こることを知っていたんですよね。
それで、たぶん来るべき時にシンジを救うためには初号機に入っていなければならないと計算した。
その時のために、ダイレクトエントリーで初号機に取り込まれることを選んだと。

ゲンドウのこと

この人の目的自体は明らかに「ユイに会うこと」なのは非常にわかりやすいのですが
やってることがめちゃくちゃわかりにくい。

ところで、北上(ピンク髪の人)が「誰のおしっこかもわからないものを綺麗にしたからと言って~」みたいなこと言ってましたよね。
あれはシンジに対しての「仮に贖罪したって済むなんてもんじゃねーよ!」っていう感情を表してるシーンだと思いますが、私はあれがゼーレやゲンドウの言う「魂の浄化」にもかかってる気がしてなんだか痛快でした。
「魂なんてな、もともと汚くて当たり前なんだっつーの!生きてる証なんだから当然だろうが!」っていう反論に聞こえました。
ゲンドウが無垢な魂のアヤナミを4体用意した~とかなんとか言って抜け殻みたいなアヤナミが4人座り込んでましたが
冬月センセが「うわぁ…」みたいな反応してましたもんね。教え子と同じ顔してるし余計に可哀想よね。関係ないけどユイさんって老若男女にモテるよね。

シンジのこと

最後の駅のホームの場面。
DSSチョーカーがついているっていうことは、あのシンジは生まれ変わりとかではなく、全てのエヴァンゲリオンに別れを告げて浜辺でマリを待ち、マリに迎えに来てもらった、あのシンジなのだという証と思っていいんですよね。
全てのエヴァがなくなった今もう必要のないもののはずですが、シンジは外さないでいるんでしょうね。
そしてシンジもマリも身体的に成長している様子。全てのエヴァがいなくなりエヴァの呪縛から解かれたということかな?
あれっ待って?ヴィレに戻ってからのシンジはDSSチョーカーつけてなかったはず…?んん?
駅のホームでのマリってチョーカーつけてたっけよく見てなかった…!
もしかしてだけどマリがつけてたやつをシンジがつけてるとかだったらエモい気がする…!

※追記
公開された追告A動画で浜辺にシンジを迎えに来たときのマリがチョーカー着用してるの確認できました。
やはり私はラストの駅のホームでシンジがつけてるのはマリのチョーカーだと思います。
Qまでのシンジは、カヲルにDSSチョーカーを肩代わりしてもらう、「守られる側」なところがありました。父親に手を引かれ背中にかばってもらう子どものように。
シンジはDSSチョーカーをつけたマリを見て、きっと遅かれ早かれ気づいたはずです。
これまでマリは、自分を迎えに来るためにDSSチョーカーをつけられてまでエヴァに乗り、自分が第三村にいたときもずっとずっと、代わりに戦ってくれていたと。
だからきみのことを、今度はこれからは、ぼくが守りたい、守るよという意味をこめて、マリのチョーカーをシンジはつけているとのだと思う。
もうシンジは守られるだけの子どもじゃないんですね。

その他

最後、シンジとマリが駅の階段を上がって行った後映し出される風景が、アニメではなく…たぶんあれは実写だったと思うんですね。
どこにでもある私たちの日常。現実世界。
それは大切な人との別れとか悲しいことがある世界だし、決して綺麗とは言い難い世界なのかもしれないけど、そんな世界をシンジやミサトさんは命をかけて選んだわけですよね。
冬月センセも、ゲンドウ側で動いてはいたけど「私はヒトでけがれた混沌とした世界を望むよ」と言っておられました。
全然関係ないけど、ふっとある映画の台詞を思い出しました。
「セブン」という有名なサスペンス洋画の、刑事の台詞。
「ヘミングウェイは言った。“この世は素晴らしい。戦う価値がある”と。後半の部分は賛成だ」
エヴァンゲリオンのテーマも、そういうことなのかな、と私は感じました。
我々の日常は素晴らしくはないかもしれないけれど、それでも戦う価値はあると。そう思ってほしいのではないかな?と勝手に思っています。

しかし……当時エヴァを観ていた方々はこのメッセージを受け取る前に既に大人になってしまったのではという感もあります……ね……。
そして今まさにこのメッセージを受け取って欲しい若人にほど、少々敷居が高い作品となった気もしています。
旧世紀版くらいの頃であれば完結版の内容はめちゃくちゃ画期的な内容だったはずなのに、
今ではループものはもうしゃぶりつくされた感あって驚けないのが残念だよなぁ……とかしょうがないことを思ったり。いやこれは誰が悪いわけでもないんですけどただ惜しいですよね。
でも完結版最初のパリ市街の戦闘とかやっぱり見ごたえあったしあれとかヴンダーのクオリティは当時じゃここまで無理だったでしょうし……
あっあとパリ市街の戦闘が良かっただけに、最後のほうのシンジとゲンドウのタイマンがなんだかクオリティ低くて残念に感じてしまったかな……
最終作戦でヴンダーから出撃した新弐と8号機が、重装備だったのがどんどん装備を使い捨てたり破損して身軽になってくの、「ロボットものあるあるぅ~!ロマン~!」ってなりました。
今思えば結局カヲルくんが戦うとこほとんど見れんかったな。ちぇ。

正直まだ思ったこと全部は書き切れていないと思うのですがとりあえずということで投稿しておきます。

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