このページでは初心者にもさらっと読めるようにエヴァンゲリオン新劇場版のストーリーをネタバレありでまとめています。
なるべく公式情報から読み取れることのみを解説するようにして個人的な解釈や考察は最小限に抑えています。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
第3新東京市。軍隊が使徒と呼ばれる謎の生命体と戦っているが、通常の兵器は通用せずやっと与えられたダメージも再生されてしまう。
ゲンドウと冬月が使徒について以下のように話し合っている。
- 使徒は単独で完結している純完全生物
- 使徒は生命の実を食べた者たち
- 使徒は知恵の実を食べた我々を滅ぼすための存在
巻き込まれそうになった碇シンジは迎えに来た葛城ミサトによって助けられ、国連直属の非公開組織・特務機関NERV(ネルフ)本部に連れていかれる。
シンジはミサトとともに施設の中を進み、到着した先で技術局の赤木リツコに「見せたいものがある」と言われ人造人間エヴァンゲリオン初号機と対面する。
父親・ゲンドウに乗れと言われるが、あんなのと戦うなんて出来るわけがないと拒否するシンジ。
するとゲンドウは「“予備”が使えなくなった」ため“レイ”にもう一度行かせるように指示する。
ストレッチャーに横たわった状態で連れてこられた赤眼の少女は負傷しており起き上がるのもやっとの状態。
それを見たシンジは「逃げちゃダメだ」と自分に言い聞かせ、「僕が乗ります」と決意した。
初号機出撃前、これでいいのか?と問いかける冬月に、顔の前で組んだ手の下で笑みを浮かべるゲンドウ。
シンジは初号機に適合するが、歩くこともままならない初号機は第4使徒に一方的に攻撃され停止し、ミサトたちとシンジとの交信も途絶する。
沈黙したと思われた初号機が起動し咆哮すると、使徒が張ったA.T.フィールドと呼ばれる防御を突破し使徒を圧倒。使徒は自爆するが、初号機はまだ起動していた。
ゲンドウと話し合う謎の存在(ゼーレ)
- 第4の使徒襲来とその殲滅、3番目の子供接収、エヴァ初号機の初起動 は概ね規定通りに進んだ
- 使徒殲滅はリリスとの契約の極一部に過ぎない
- 《人類補完計画》の遂行こそが我々の究極の願い
ミサトはシンジが一人で暮らし始めることになることを知り、自分の家に同居人として迎えることにする。ミサトの家にいるペンギンを見てこんな鳥がいるのかと驚くシンジ。15年前は沢山いたのだと言うミサト。
転校初日からシンジはクラスメイトから妹がエヴァの戦闘に巻き込まれ怪我をしたという理由で殴られる。シンジは人間関係において臆病な傾向があるというような推測をしているミサトとリツコ。
第5使徒の襲来により出撃することになるシンジ。父さんも見てないのになぜ人に嫌われてまでエヴァに乗るんだろうと自問する。戦闘中に出歩いていた、シンジを殴ったクラスメイトを含む2人のクラスメイトが初号機内に緊急的に保護され、クラスメイト2人はシンジが苦しみながら戦う様を間近で見ることになった。
シンジはミサトからの後退命令を無視した件でミサトから説教を受けるが反省した様子もなく、自分はエヴァに乗るためだけでここにいるのだと自暴自棄な様子。
ゲンドウと冬月が話し合っている。
冬月「結局 お前の息子は予定通りの行動をとったな。」
ゲンドウ「ああ 次はもう少しレイに接近させる。計画に変更はない。」
冬月「14年前からのシナリオ。運命を仕組まれた子供たちか……。過酷すぎるな。」
シンジが生まれたのも14年前。
EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE. /あなたはひとり(じゃない)。
クラスメイト2人(トウジとケンスケ)とシンジが和解する様子を見つめるレイ。シンジはレイがいつも一人でいるところや、ゲンドウと談笑しているところを見てレイの存在が気になり始める。
レイについて
- 第1の少女。エヴァンゲリオン試作零号機 専属操縦者。
- 過去の経緯は白紙。全て抹消済。
- 凍結される前に零号機が起こした暴走事故当時、ゲンドウは手を火傷するのも厭わずレイを助け出そうとした。
レイは暴走事故でゲンドウが自分を助けに来てくれた際に落とした眼鏡を大事にしており、ゲンドウについて「あんな父親なんて信じてない」と言うシンジを平手打ちした。
第6使徒が襲来し、遠距離からの強烈な攻撃で初号機とシンジは大ダメージを受ける。再出撃を拒否するシンジに、ミサトは15年前にセカンドインパクトで人類の半分が失われたことを語りながらネルフ本部の深部・セントラルドグマへとシンジを連れて行く。
【セカンドインパクト】
旧世紀版の設定を引用すれば、南極で発見した第1使徒アダムを、人類が他の使徒覚醒前にロンギヌスの槍を使って卵の状態に還そうとした際に起きた大災害。(表向きにはこの詳細は公表されていない)ミサトはこれを目撃した生存者でありこの時に父親を喪っている。
- セントラルドグマに使徒が侵入するとサードインパクト回避のためネルフ本部は自爆する
- この星の生命の始まりでもあり終息の要ともなる第2使徒リリスが磔にされている
- リリスはサードインパクトのトリガーとも言われている
【リリスとは】
白き月で地球に到着したアダムに対し、黒き月で地球に到着した知恵の実を得た生命体。アダム系の生命の実を得た生命体(第3~17使徒)以外の地球上のすべての生物を生み出した存在であり、リリスに生み出された人類は知恵の実を与えられた第18使徒リリンにあたる。リリスの肉体はネルフ本部セントラルドグマにある。リリスの魂は、魂が宿らなかったユイのクローン体に移植されておりそれが綾波レイの正体。
命を懸けているのはあなただけじゃないと言われ、シンジはもう一度エヴァに乗ることを承諾する。ヤシマ作戦によって第6使徒を辛くも殲滅することができ、シンジとレイは少し打ち解けることができたのだった。
赤い線が走る月面。赤眼の少年が棺のようなところから起き上がり、ゼーレに話しかける。
棺の数は9個。左から数えて開いた棺が4つあり少年が起き上がってきたのは5つ目。その右には開いていない棺が4つ。
既に開いている棺の数を考えると、過去に4回カヲルは世界のやり直しを経験していて「また」という台詞から考えてその記憶も保持していると解釈しても不自然ではない。
少年「わかっている。あちらの少年が目覚め概括の段階に入ったんだろう。」
ゼーレ「そうだ。《死海文書外典》は掟の書へと行を移した。契約の時は近い。」
【(エヴァ世界における)死海文書とは】
ゲーム版新世紀エヴァンゲリオン2にてカヲルが語る内容を引用すれば、白い月で旅をしてきたアダムが到着後にすることを書き留めておいた説明書・マニュアルのようなものとのこと。詳細不明。
少年「また3番目とはね。変わらないな君は。逢えるときが楽しみだよ。碇シンジ君。」
建造中のエヴァのような巨人を見ながら少年がつぶやく。振り返った先には地球が。
つづく
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
北極のネルフ基地・ベタニアベース。封印システムを無効化して逃げ出した第3使徒。
加持「人類の力だけで使徒を止めることは出来ない。それが永久凍土から発掘された第3の使徒を細かく切り刻んで改めて得た結論です」
脱出した加持は持ち出してきた何かを見ながら、大人の都合に子供を巻き込むのは気が引けるとつぶやく。
第3使徒を殲滅しエヴァンゲリオン仮設5号機を自爆させ脱出した眼鏡の少女・マリは、自分の目的に大人を巻き込むのは気が引けるとつぶやくのだった。
ユイの墓の前で話をするシンジとゲンドウ。ゲンドウはこの墓はただの飾りで遺体はここにないと言う。
第7使徒が襲来。これを殲滅したエヴァンゲリオン2号機のパイロットをミサトがシンジに紹介する。式波・アスカ・ラングレー大尉で、第2の少女であると。
【アスカの苗字が惣流ではなく式波になっている理由】
監督によれば「EVAパイロットの設定を旧作と変えたので整合性を持たせるため」とのこと。
【惣流・アスカ・ラングレー】
・母親が自殺したことによる深刻なトラウマを抱えたまま。
・結果、大人に愛されたい認められたいと精神的に大人に依存している。
・シンクロ値の優劣でシンジに負けるなどで自分の価値がなくなると感じたり依存先の大人を失うと自己の精神を保てない。
【式波・アスカ・ラングレー】
・大人を含む他者への依存は見られない。
・その代わり「自分が特別」であることを若干心の支えにしている節はある。
・他者を(援護などで)頼ったり協力連携することを受け入れていく。
冒頭の出来事について、全てあなたのシナリオ通りに事故として処理したとゲンドウに報告する加持。
加持「いつものゼーレ最新資料は先ほど……。」
冬月「拝見させてもらった。Mark.06建造の確証は役に立ったよ」
加持はゲンドウに持ち出してきたあるものを渡す。加持はこれを「予備として保管されていたロストナンバー」「神と魂を紡ぐ道標」と言い、ゲンドウは「人類補完の扉を開くネブカドネザルの鍵」だと言う。
アスカがミサトの部屋に越してくる。夜、「私は特別、だからやるしかない」と自分に言い聞かせている様子のアスカ。学校で一人でいるレイとアスカが気にかかる様子のシンジ。
赤い線の走る月面の様子を間近に見ながら話し合うゲンドウと冬月。
冬月「月面のタブハベースを目前にしながら上陸許可を出さんとはゼーレもえげつないことをする……」
ゲンドウ「Mark.06の建造方式が他とは違う。その確認で十分だ。」
冬月「しかし5号機以降の計画などなかったはずだぞ。」
ゲンドウ「おそらく開示されていない《死海文書》の外典がある。ゼーレはそれに基づいたシナリオを進めるつもりだ。」
冬月「だがゼーレとて気付いているのだろう?ネルフ究極の目的に。」
ゲンドウ「そうだとしても我々は我々の道をゆくだけだ。たとえ神の理と敵対することになろうとも。」
ゲンドウたちは月面で建造されているエヴァの指先に誰かが座っているのを見つける。赤眼の少年がゲンドウに振り返った。「はじめまして、お父さん」と。
一方、加持による社会科見学を楽しむシンジたち。水槽の中の生き物を見て、「わたしと同じ、ここでしか生きられない」とシンジに話すレイ。
シャトルの中で会話するゲンドウと冬月。地球にセカンドインパクトの跡が見える。
冬月「これが母なる大地とは痛ましくて見ておれんよ。」
ゲンドウ「だがしかしこの惨状を願った者たちもいる。ヒトさえ立ち入ることの出来ぬ原罪のけがれなき浄化された世界だからな。」
冬月「私はヒトでけがれた混沌とした世界を望むよ。」
ゲンドウ「カオスはヒトの印象に過ぎない。世界は全て調和と秩序で成り立っている。」
冬月「ヒトの心が、世界を乱すか……。」
加持がミサトの過去について語る。ミサトはセカンドインパクトの際、嫌っていた父親に助けられ生き残った。そのとき託された十字のペンダントをミサトは今も身につけている。
セカンドインパクトの描写
- 4体の頭上に光の輪がある巨人
- 4本の槍(少なくとも2本はロンギヌス)
- 4体の巨人から翼のような光が立ち昇っている
第8使徒がネルフに向かって飛来中。ミサトはエヴァ3機を動員し手で受け止める作戦を立てる。3機の連携で殲滅することができたがアスカは自分一人では何も出来なかったことに落ち込むのだった。エヴァに乗る理由について、アスカは自分のためだと言い、シンジは父さんに褒められたいのかもしれない、今回褒められて嬉しかったのだと話す。
レイはお弁当を作ってくれたシンジに感謝の気持ちを覚える。「今度……一緒に碇くんやみんなと食事、どうですか」とゲンドウを誘うレイ。ゲンドウはとっさに断ろうとするが、レイにユイの面影を重ね、承諾するのだった。
国際条約で1国のエヴァ保有数が3体までに制限されていることについて愚痴るミサトたち。
屋上にいたシンジのところにパラシュートでマリが落ちてくる。電話の相手に、外国語で「極秘入国しろと言ったのはそっち」と話すマリ。
衝撃のせいか、シンジのカセットプレーヤーが正常に作動しなくなった。
加持はシンジを連れ出し、「葛城を守ってくれ。それはオレには出来ない。君にしかできない」と頼む。
料理を始めたレイに対抗意識を持ち料理を始めるアスカ。レイの目的は、シンジとゲンドウ親子の仲をとりもつことらしい。
EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE. /あなたは進める(進めない)。
エヴァ4号機とネルフ第2支部が消滅。どうも爆心は4号機らしい。4号機は実験機だったらしく何が起こってもおかしくないとはいえ、「本当に事故なのか?」とつぶやく加持。
ケンスケがアメリカから3号機が運ばれてくるという噂についてシンジに話す。
ゼーレと話すゲンドウ。
4号機と5号機が失われたことについて、修正の範囲内であり3号機もあるため問題ない旨を話すゼーレ。
3号機は試験前機体で信頼に足りないため零号機修復のための予算を求めるゲンドウ。ゼーレは優先すべきことは他にあると言う。
ゼーレ「我らの望む真のエヴァンゲリオン。その誕生とリリスの復活をもって契約の時となる。それまでに必要な儀式は執り行わねばならん。《人類補完計画》のために。」
ゼーレとの会談終了後。
ゲンドウ「真のエヴァンゲリオン……。その完成までの露払いが初号機を含む全機体の務めというわけだ。」
冬月「それがあのMark.06なのか?偽りの神ではなくついに本物の神を造ろうというわけか。」
ゲンドウ「ああ。初号機の覚醒を急がねばならん。」
【真のエヴァンゲリオンとは】
使徒殲滅用のエヴァは生命の起源であるアダムかリリスをコピーした生命体をもとに造られている(偽りの神)。Mark.06は本物のアダムをもとに建造された真のエヴァンゲリオン(本物の神)であると読み取れる。
【6号機ではなくMark.06と呼称する理由】
ゼーレが人類補完計画関係者以外には公にせず使徒殲滅用のエヴァとは別に真の目的のために建造しているエヴァをMark.で区別しているものと推察できる。
アメリカからの3号機の代わりに2号機が封印され「私の唯一の居場所だったのに」と落ち込むアスカ。レイは「あなたにはエヴァに乗らない幸せがある」とアスカに話す。手に作った料理の傷跡の数は、アスカよりもレイのほうが多かった。
ダミープラグシステムが気に入らない様子のミサト。
ミサトはネルフ上層組織ゼーレ・人類補完計画について加持に情報を求めるが加持は計画について探るのはやめておけと言う。
3号機起動実験の日がずれてレイが計画した食事の日に重なってしまった。3号機のテストパイロットを引き受けたアスカにレイは感謝の言葉を伝え、ミサトも感謝の意を述べる。アスカは「もともと他人と食事など苦手だったから別にいい」と、自分のことについてミサトに話す。誰かに話すことが心地よいなんて知らなかったと、穏やかな表情のアスカ。
3号機の実験中、操縦席にいたアスカは何かに飲み込まれエヴァの数値が異常をきたす。
オペレーター「体内に高エネルギー反応!」
リツコ「まさか……」
ミサト「使徒!?」
3号機を中心に爆発が起きた。報告を受け引き返すゲンドウ。その報告は手土産を持って行く途中だったシンジと、自宅で食事を作ってもてなす用意をしていた最中のレイのところにも届いていた。
パターンオレンジ(使徒ではない)と確認されていた事故現場付近の未確認移動物体は、3号機だった。エントリープラグの強制射出も受け付けない。エントリープラグ付近のコアらしき侵食部位はパターン青……使徒と判定された。ゲンドウは3号機を即時破棄し、第9使徒と定めた。
ゲンドウは戦おうとしないシンジの初号機をダミーシステムに切り替えさせる。ダミーシステムの初号機は第9使徒を引き裂き噛み千切り、エントリープラグを噛み砕いた。シンジはゲンドウが自分にアスカを殺させようとしたことに激怒する。
シンジの独白。カセットプレーヤーはゲンドウがいらなくなって置いて行ったもの。シンジと同じように……。レイの持つ眼鏡と同じ。これで耳を塞いでいると、父さんがイヤな世界から守ってくれると思っていた。
初号機に噛み砕かれたエントリープラグからアスカは取り出された模様。使徒により精神汚染されている可能性があるため隔離されるというリツコが言う。
シンジがもうエヴァに乗らないと言いミサトの家を出て行った後に第10使徒襲来。
命令もなく出撃した2号機にはマリが乗っていた。このままでは勝てないと判断したマリはエヴァの裏コード・ビーストを発動させる。
リツコ「おそらくプラグ深度はマイナス値。汚染区域突入もいとわないとはね。」
それでも歯が立たず腕を飛ばされる2号機。そこに零号機がN2ミサイルを抱えて現れ特攻していく。
レイ「碇くんがもう……エヴァに乗らなくていいようにする。だから……!」
A.T.フィールドを食い破った2号機を突き飛ばして爆発の光に包まれる零号機。それでも第10使徒は健在だった。
シェルターに避難していたシンジはマリの2号機の手に乗せられ、変わり果てた地上の惨状を目にする。シンジの目の前で、第10使徒が零号機を捕食した。
ミサト「やられた!これで奴がドグマに侵入しても自爆しない!リリスに苦も無く辿り着けるわ!」
シンジはネルフ本部に走り初号機に乗り第10使徒と戦うが活動限界で停止する。シンジが「綾波を返せ」と強く念じた瞬間、停止したはずの初号機が起動し失った腕も再生し頭上に光の輪が現れる。
リツコ「初号機がヒトの域を超えている!?」
伊吹「プラグ深度180をオーバー!もう危険です!」
リツコ「やめなさいシンジ君!ヒトに戻れなくなる!」
シンジは第10使徒のコアの中にレイを探し、今助けると呼びかける。すると初号機の胸部が剥がれ使徒のコアのようなものが見え、天にセカンドインパクト跡によく似た多重円が現れ初号機がそこに向かって浮いていく。
リツコ「ヒトの域にとどめておいたエヴァが本来の姿を取り戻していく。ヒトのかけた呪縛を解いてヒトを超えた神に近い存在へと変わっていく。天と地と万物を紡ぎ相補性の巨大なうねりの中で自らをエネルギーの凝縮体に変身させているんだわ。純粋にヒトの願いを叶える……ただそれだけのために。」
シンジがレイを見つけ手を引いて引っ張り出す。レイの手にはカセットプレーヤー。
するとコアが砕け第10使徒の血が飛散し、エヴァと同じほどの大きさのレイの形へと収束する。
加持「数が揃わぬうちに初号機をトリガーとするとは……碇司令……ゼーレが黙っちゃいませんよ。」
冬月「やはりあの二人で初号機の覚醒は成ったな。」
ゲンドウ「ああ。我々の計画に辿り着くまであと少しだ。」
巨大なレイが初号機に同化していく。初号機から天に向かって翼のように光が立ち昇っている。
リツコ「この世界の理を超えた新たな生命の誕生。代償として古の生命は滅びる……。」
ミサト「翼……15年前と同じ!」
リツコ「そう……セカンドインパクトの続き……サードインパクトが始まる。世界が終わるのよ。」
その時、初号機に槍(カシウス)が突き刺さり覚醒が止まる。夜空に浮かぶ月を背景にMark.06に乗る赤眼の少年。
少年が乗ったMark.06には頭上に天使のような光の輪が見える。
旧世紀版の設定を引用すれば、カヲルはゼーレによって第1使徒アダムの魂を人型の肉体に入れられた存在。Mark.06の頭上に光の輪が現れているのはアダムの肉体で造られたMark.06にアダムの魂が乗っているからだと思われる。
少年「さあ 約束の時だ。碇シンジ君。今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ。」
つづく
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 予告
この予告内容が空白の14年間にあった出来事とみられています。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
何らかの作戦行動が行われている様子。ミサトによる、US作戦開始との指示。
ツーダッシュと呼ばれていた機体に乗っていたのは眼帯をしたアスカ。8号機で援護するマリ。
作戦対象だった回収物からパターン青の障害物が出てきて対処し切れないアスカが「なんとかしなさいよ!バカシンジ!」と叫んだ瞬間。
回収対象物にヒビが入り、そこから伸びた光の筋がパターン青の障害物をたやすく切り刻みコアブロックを破壊した。ヒビからのぞいた目は静かに閉じられ沈黙した。
目覚めるシンジ。知らない場所。周りの人間がシンジの意識の有無など慌ただしく確認している。
連れていかれた先にいたミサトはリツコに葛城艦長と呼ばれていた。周囲の人間がシンジを見る目は冷ややかでミサトはろくにシンジと会話することなく面会終了とした。シンジはDSSチョーカーなるものをつけられミサトが作動できるようになっているようだった。
パターン青の敵襲。ミサトたちはネーメズィスシリーズなる敵との戦闘を開始。民間人も混じっている寄せ集め集団であるらしい。会話の中に「初号機」「アスカ」という言葉を聞き反応するシンジ。
【ネーメズィスシリーズ】
正式名称はEVANGELION Mark.04。それ以外の詳細不明。
エヴァ改2号機が出撃したのを見て「僕も乗ります!」と言うシンジに、ミサトはあくまで冷ややかに返した。「あなたはもう……何もしないで。」
ミサトは重力制御に関しては試運転も済ませていないヴンダーを実戦で飛ばせると言う。
ミサト「神殺しの力 見極めるだけよ。」
ヴンダーは味方艦船ごと空に浮かせ空中戦で勝利を収めた。
シンジはリツコから初号機がヴンダーのメインエンジンになっていることと、DSSチョーカーについて説明を受ける。シンジによってエヴァが覚醒するリスクを避けられないと判断した時にシンジの命に代えてもそれを阻止するためのもの。
目覚めてすぐからシンジの近くにいた女性はトウジの妹・サクラと名乗る。しかしトウジより明らかに年上に見える。戸惑うシンジにアスカがあれから14年経っていると言う。アスカはシンジにガラス越しに殴りかかり、怒りと悲しみの累積だと言った。レイの行方を聞くシンジ。ミサトは「綾波レイはもう存在しない」と答える。初号機の中から見つかったとしてシンジに返還されたものは、カセットプレーヤーだけだった。
【エヴァの呪縛】
シンジやアスカ、マリなどのエヴァパイロットが14年経っても歳をとっていない理由。詳細は説明されていない。
そのとき、敵襲がありシンジはレイの声を聴く。シンジが声に応えるとエヴァの手が装甲を突き破りレイの声が「こっちへ」と言う。零号機に見えるそのエヴァを攻撃し、「ネルフのエヴァは全て殲滅する」と言うミサト。
ここもネルフじゃないかと言うシンジに、ミサトは自分達がヴィレというネルフ殲滅を目的とする組織であることを説明する。レイはここにいると信じて疑わないシンジは差し伸べられたエヴァの手に乗った。リツコはDSSチョーカーの即時発動をミサトに促したが、ミサトはリモコンが圏外になるまでついにスイッチを押すことはできなかった。
シンジが目を覚ますと、黒いプラグスーツに身を包んだレイ(仮)が立っていた。変わり果てたネルフ本部。レイ(仮)に導かれるままついていった先には、エヴァンゲリオン13号機。そして赤眼の少年。ゲンドウは「時が来たらその少年とこのエヴァに乗れ」とだけ言ってシンジの前から姿を消した。シンジの問いかけに対するレイ(仮)の返答は要領を得ない。
冬月「ゼーレはまだ沈黙を守ったままか?」
ゲンドウ「人類補完計画は《死海文書》通りに遂行される。もはや我々と語る必要はない。」
冬月「碇、今度は第13号機を使うつもりか?……まあいい。俺はお前の計画についていくだけだ。ユイ君のためにもな。」
シンジは赤眼の少年に誘われてピアノの連弾をする。
カヲル「僕はカヲル。渚カヲル。君と同じ、運命を仕組まれた子どもさ。」
「もっといい音を出すにはどうすればいいか」と尋ねるシンジに、「自分がいいなと感じられるまで同じ事を何度も繰り返すしかない」と答えるカヲル。
シンジのカセットプレーヤーがカヲルにより修繕される。
カヲル「こんなのは知識に過ぎない。君より少しこの世界にとどまっているからだよ。」
初号機の中で眠っていた14年間の間に何があったのか、知りたいかいと問われ頷くシンジ。
地上の惨状を見て言葉を失うシンジ。カヲルはシンジが初号機と同化している(シンジの空白の14年の)間に起こったサードインパクトの結果だと言う。
カヲル「生命とは本来世界に合わせて自らを変えていく存在だからね。しかしリリンは自らではなく世界の方を変えていく。だから自らを人工的に進化させるための儀式を起こした。古の生命体を贄とし生命の実を与えた新たな生命体を創り出すためにね。全てが太古よりプログラムされてていた絶滅行動だ。ネルフでは《人類補完計画》と呼んでいたよ。」
地上に首のないエヴァのようなものが無数に見える。
カヲル「一度覚醒しガフの扉を開いた初号機はサードインパクトのトリガーとなってしまった。リリンの言うニアサードインパクト。全てのきっかけは君なんだよ。」
- 【ニアサードインパクト】シンジがレイを取り戻そうとした時のこと。カヲルが中断させた。
- 【サードインパクト】シンジが眠っている14年の間に、おそらくゲンドウが起こした。
後で出てくるサードインパクト後のセントラルドグマの状況から見て、
【古の生命体】→リリスが生み出した人類
【生命の実】→アダムスの肉体であるMark.06
【新たな生命体】→インフィニティ(永遠の命) を指すと推察できる。
EVANGELION:3.0 YOU CAN (NOT) REDO. /あなたはやり直せる(やり直せない)。
冬月「ゼーレの少年が第3の少年と接触。外界の様子を見せたようだ。はたしてどう受け止めるのか……。いいのか、碇?」
ゲンドウ「ゼーレのシナリオを我々で書き換える。あらゆる存在はそのための道具に過ぎん。」
冬月「お前の生き様を見せても息子のためにはならんとするか。私はそうは思わんがな。」
冬月がシンジにユイについての情報を与える。写真のユイはレイに似ていた。
- 旧姓・綾波ユイ。冬月の大学の教え子。
- 今はエヴァ初号機の制御システムとなっている。
- コアへのダイレクトエントリーの被験者に自らなり彼女はそこで消えて彼女の情報だけがアヤナミシリーズに残された。
- シンジの知る綾波レイはユイの複製体のひとつ。レイもユイ同様初号機の中に保存されている。
- 全てはゲンドウの計画である。
冬月「世界を崩すことは造作もない。だが造り直すとなるとそうもいかん。時と同じく世界に可逆性はないからな。ヒトの心にも。だから今 碇は自分の願いをかなえるためにあらゆる犠牲を払っている。自分の魂もだ。君には少し真実を伝えておきたかった。父親の事も。」
冬月「まったく嫌な役だ。ユイ君……これでいいんだな?」
レイ(仮)が自分の知るレイではなく、レイを助けられていなかったことを知ったシンジは精神的に追い詰められていく。
冬月「最後の執行者がついに完成したか。」
ゲンドウ「ああ。これで道具は全て揃った。」
製造過程不明の第13号機が完成。
カヲルも「時が満ちた」と言いシンジのもとを訪れるがシンジは「エヴァなんかもう乗りたくない」と激しく拒絶する。
カヲルは「リリンの呪いとエヴァの覚醒リスクは僕が引き受ける」と言いシンジの首からいとも簡単にDSSチョーカーを外し自分の首に装着した。
カヲル「気にしなくていいよ。もともとは僕を恐れたリリンが作ったものだからね。」
補完計画発動のキー・ドグマの爆心地に残る2本の槍を自分たちが手にすれば、フォースインパクトを阻止できるし13号機と併用すれば世界修復もできるとカヲルは説明する。
シンジとカヲルはダブルエントリーの13号機に二人で乗り出撃する。ヴィレを警戒してか、ついてきたレイ(仮)の乗るMark.09に嫌な顔をするシンジ。「綾波じゃないのに……」とつぶやいたシンジの言葉にレイ(仮)は「アヤナミじゃ……ない?」と反応する。
降下していった先、壁に見えるほど何かが積み重なっていることに気づくシンジ。無数の、首のないエヴァのように見える。全てインフィニティのなり損ないたちだとカヲルが説明する。
【インフィニティのなり損ないとは】
シンジが眠っていた空白の14年間の間にゲンドウが改造したMark.06をセントラルドグマに送り込みサードインパクトを起こしたとき、人類はエヴァへと進化。(地上にあった無数のエヴァ)さらにリリスと融合することで永遠の命を持つ存在・インフィニティになろうとした。おそらくゲンドウに反旗を翻したミサトたちによってリリスの首が落とされることでこれらのエヴァ達の首も同じように落ち、インフィニティになり損ねたとみられる。
リリスの結界を突破しセントラルドグマ最深部・サードインパクト爆心地に到着。首のない四つん這いの巨人はリリスだったもの、リリスの骸だと説明するカヲル。リリスの首辺りに下半身が同化しているエヴァを槍が貫いている。
カヲル「そう エヴァMark.06。自律型に改造されリリンに利用された機体の成れの果てさ。」
2本の槍を持ち帰るには魂が2つ必要。カヲルはレイ(仮)では模造品で魂の場所が違うため無理だと言う。カヲルが目標の槍について違和感を感じて止まった瞬間、アスカの改2号機が急襲してくる。
カヲル「カシウスとロンギヌス 対の槍が必要なんだ。なのにここには同じ槍が2本あるだけ……。そうか!そういうことか……リリン!」
巨大なリリスの首に対面しているゲンドウ。
マリはMark.09に乗るレイ(仮)に対し「アダムスの器になる前にそこから出たほうがいい」と言う。
【アダムスとは】
白き月で地球に到着した第1使徒アダム。人類が南極で発見した4体の光の巨人を指すと思われる。旧世紀版の設定を引用すれば第3~第17使徒を生み出した存在であり生命の実を得た生命体。4体のうち、少なくとも2体のアダムスの肉体はMark.06とMark.09に使われているとみられる。
【アダムスの器とは】
アダムスの容器、入れ物と考えると、アダムスの肉体のことと解釈可能。
「なる前に」ということはアダムスの肉体をもとに建造された真のエヴァンゲリオンというだけではまだアダムスの器になっていない。
真のエヴァンゲリオンが覚醒した状態のことと推測できる。
槍の異変に気づいたカヲルの制止を振り切り、シンジが槍に辿り着く。マリが第13号機にA.T.フィールドがないことに気づく。
【第13号機にA.T.フィールドがない理由】
第13号機はダブルエントリーシステムのため2人分のA.T.フィールドが打ち消し合って中和された結果という可能性が考えられる。
2本の槍を抜くと、リリスの骸とゲンドウの前の首が形を失い中から血のような液体が流出する。血の海の上に浮かんだMark.06からパターン青検出。アスカが第12使徒がまだ生き残っていると反応する。
“命令”に従ったレイ(仮)のMark.09がMark.06の首を斬り落とすと、中から出てきたものが13号機を覆い包んだ。
カヲル「まさか第1使徒の僕が13番目の使徒に堕とされるとは……。始まりと終わりは同じというわけか。さすがリリンの王 シンジ君の父上だ。」
マリ「DSSチョーカーにパターン青?ないはずの13番目?ゲンドウ君の狙いはこれか!」
冬月がゼーレの動力源を止めていく。
ゲンドウ「死海文書の契約改定の時が来ました。これでお別れです。あなた方も魂の形を変えたとはいえ知恵の実を与えられた生命体だ。悠久の時を生きることはできても我々と同じく訪れる死からは逃れられない。死を背負った群れの進化を進めるために あなた方は我々に文明を与えてくれた。人類を代表し感謝します。死をもってあなた方の魂をあるべきところへ還しましょう。宿願たる《人類補完計画》と 諦観された神殺しは私が行います ご安心を。」
ゼーレ「我らの願いは既に叶った。よい。全てこれでよい。人類の補完 安らかな魂の浄化を願う。」
13号機を覆っていた膜がコアのような形に収束し、13号機がそれを捕食すると覚醒状態に。頭上に光の輪が現れたMark.09とともに地上から空へ出る。レイ(仮)の操縦席には一面にゼーレのマークが現れ操縦が効かなくなりMark.09は自律的に行動し始める。
マリ「覚醒したみたいね。アダムスの生き残りが!」
【アダムスの生き残りとは】
第13号機を指す。アダムス4体のうちMark.06とMark.09を除く残り2体のアダムスのうち、1体を使っているのか2体(ダブルエントリーのため)を使っているのかは諸説あり。生き残りという言葉のニュアンス的に、残り2体ともが第13号機に使われているような印象を受ける。(第13号機にはA.T.フィールドがなく手が4本あり頭上の光の輪も2つ現れることもその論拠)
フォースインパクトを食い止めるべく現れたヴンダーはアダムスの器(Mark.09)の攻撃を受ける。
リツコ「アダムスの器はヴンダー本来の主。初号機から本艦の制御を奪い返すつもりだわ。」
「奪い返す」という発言からして、ヴンダーはヴィレが(おそらくはネルフから)奪ったものと読み取れる。今は初号機がヴンダーの制御をしているように、元々ネルフ管理下にあった時はMark.09がヴンダーの制御をしていたのだと仮定すると、「アダムスの器はヴンダー本来の主」という意味が通る。リツコたちが「アダムスの器」と呼ぶので小難しく感じるがリツコたちはあのオレンジ色のエヴァがMark.09という通り名であるという認識がないので指示代名詞的に呼んでいるに過ぎないと推測。
ヴンダーを助けるべくアスカの改2号機がアダムスの器(Mark.09)と交戦。改2号機ビーストモード使用時のアスカの眼帯から青い光が見える。操縦席にも青い十字の模様が出ている(マリが2号機でビーストモードを使用した際にはなかった)。
「あんたはどうしたいの」と言われたレイ(仮)は機体からプラグを射出して脱出。時間がないと判断したアスカはやむなく改2号機をアダムスの器(Mark.09)もろとも自爆させ脱出した。
「僕のせいだ、僕はどうすればいい」とカヲルの操縦席側へ泣いて縋るシンジ。
カヲル「魂が消えても 願いと呪いはこの世界に残る。意思は情報として世界を伝い変えていく。いつか自分自身のことも書き換えていくんだ。ごめん。これは君の幸せではなかった。」
カヲルは「ガフの扉は僕が閉じる」と言い、13号機は手に持つ2本の槍で自らを刺し貫く。「また会えるよ」との言葉を最後にDSSチョーカーが発動しカヲルの操縦席は血で見えなくなった。
マリが13号機からシンジを脱出させたことでようやく13号機が停止しガフの扉が閉じられた。
冬月「ひどい有様だな。ほとんどがゼーレの目論見通りだ。」
ゲンドウ「だが ゼーレの少年を排除し第13号機も覚醒へと導いた。葛城大佐の動きも計算内だ。今はこれでいい。」
エントリープラグの中でうずくまっていたシンジをアスカが外へ引っ張り出す。外には赤い大地が広がっている。シンジとアスカのもとにレイ(仮)が無言で歩いてくる。
アスカ「ここじゃL結界密度が強すぎて助けに来れないわ。リリンが近付けるところまで移動するわよ。」
アスカの「リリンが近付けるところまで」という言い方から考えると、シンジ・アスカ・レイ(仮)の3人はもはやヒト(リリン)ではなくなっていて少なくともアスカはその自覚があると思われる。
赤い大地を歩いていく3人。
つづく
シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 予告
EVANGELION:3.0+1.0 THRICE UPON A TIME
コメント