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even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女/連なるときの暁 感想

このページは『even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女』と、そのFD『even if TEMPEST 連なるときの暁』の感想ページです。

前書き

発売から時間経っているので感想読む人少ないかなと思ったんですが、新鮮な新規感想を求める人もどこかにはいるかなと思ったのと単純に書きたくなったので書くことにしました。

この作品前から存じ上げてたんですが、正直その、ヒロインがボーイッシュすぎて私の食指が動かないという理由により履修していませんでした。いや髪短くても好きなヒロインはいるので髪の長さが理由ではないし、戦うつよつよヒロインも他に好きな作品ありますからそれが理由ではなくて。だから明瞭に説明しづらいんですけどまぁとにかく私的にあんま萌えない、って感じだったわけです。

しかし今年2025年のもうすぐ発売される『レッドベルの慟哭』についてはわりと食指が動いて買う気でいまして、ボルテージさんの過去作であるこの『even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女』がGWセールでお求め安くなっていたので履修しとこうかなと思い至ったという経緯になります。

以下はネタバレ感想になります。クリア後の閲覧を推奨します。
本編『宵闇にかく語りき魔女』とFD『連なるときの暁』の両作品について感想を明確には分離しない形をとりますので感想が混在する可能性があります。両作品のネタバレを含む可能性があります。

雑感

本編プレイ最中は個人的にちょっと引っかかるところもあったんですけど、本編とFD全部終わってみると、「良かったのでは?」という所感になりました。
引っかかるところというのが、一般的に個別ルートであるはずの部分が厳密には個別ルートではなく共通ルートであるというところなんですよね……。この話のやりたいこと的に必要な流れとはいえ。
本編だけで言えば完全に個別ルートとみなせる部分って個別エンディングだけでは?続けてFDをやればそこの不満はだいぶ払拭されるんですけど。
最初から本編とFDセットで一体とみなすと納得できるって感じ。なので私は両方セール価格で買えて続けてプレイできたので納得できました。そうじゃなかったとしたら本編の不完全感や割高感を感じてしまってた可能性が大きいように正直思う。

惜しいなと思ったところですが、せっかく設定多くて色々考えられてる話だなーと思うのに、後出しジャンケンみたいになっちゃってるというか……。お出しされる情報の順番があまり気持ちよくなくてカタルシスがそんなにない。気持ちいい順番ってなんなんだと言われると説明しづらいですが。
パズルのピースを何枚か渡されはするんだけどそれぞれ端っこのバラバラの箇所だけなのでつなぎ合わせることもできなければ何が描いてあるか推察もできなくて、完結した後になって肝心な部分のピースを大量にお出しされたみたいな感じ。
色々な疑問の回収の仕方が、後で質問コーナーのごとくじゃんじゃか答える(主にイシュが)みたいになってるのがもったいない。それがね、「あれは結局なんだったんだ…??」って思っちゃった後だから。そうなると伏線回収じゃなくて後出しジャンケン。
正直アナスタシアの継母の掘り下げこれだけ?て思ってしまった。いや、これだけの掘り下げで済ますならなおのことどっかで回収したらよかったのではって……まぁでも正直継母もアナスタシアも実のところお互いにそこまで興味関心あるわけでもないもんな……。

あとこれは好みもあるかもしれないのですが、ファンタジーな世界であるのに現代的な用語がお構いなしに出てきて没入感が削がれる感がある。洋画の字幕の言葉選びが気になっていちいち現実に引き戻されるみたいな感じ。「プレゼント」くらいの汎用的な言葉であればまだ気にならないんですが。うーん……なんと言ったらいいかな……ロードオブザリングの世界で「ライフハック」とかいう単語使われたらなんか雰囲気が失われません?そんな感じ。
ゼンなら理由があるし、ルーンやイシュも普通の存在ではないんでいいんですが。逆に、みんな現代的用語ポンポン使うのでゼンやイシュたちの特殊性が薄くなってるまである。
いやでも、マヤの「うちのお嬢様に何教えてるんですか!」に対してティレル様が「ライフハック」って即答するの自体は好きっていうか、現代用語ポンポン使うからこその会話のテンポ良さは好きです。このシーンで「生活の知恵」て言い換えたら良さが薄れる。だから一概に否定もするつもりないとこはある。

裁判の手がかり集めや証拠つきつけと言ったゲーム性良いんですけど、スキップしてて手がかり提出要求されたときバックログ見れないから「今何を訊かれてるんだっけ?」って困る。記憶だよりか、一回答えてみて間違えてたらバックログで巻き戻しする手間がかかるのが少々面倒。バックログ見れないなら「今こういう質問されてますよ!」っていう一文はどっかに入れてほしい。
あと、セーブスロットに番号振られてないの地味に不便。わざわざ数えました。1~25はこのキャラとか、キャラごとに分けたいので番号は欲しいんですよ。

ストーリーの感想なんですけど、うーん……なんというかなぁ。なんというかこう……この作品ってヒロインと彼の物語というより 9割くらいアナスタシアという主人公の物語であるように感じてて……。カプ萌えを欲してる自分としてはおいしい部位が1割だったので残念だった感は否定できない。赤身が多い肉みたいな。まぁ好みですけどね。全然脂のってない肉のほうがさっぱりしてて好きって言う人もいるかもしれないし。でも私は霜降りがおいしいから好きです。
アナスタシア単体についてはあんま萌えないことはクリアしても残念ながらそんなに変わらなかったんだけど、ああいうキャラクターになる背景は納得できるし ああいうアナスタシアだからこそ前に進めて彼らの信愛を得て悲劇を乗り越えることができて だからこそ彼らとの未来があるというのはじゅうぶんうなずけるので カプ萌えはあります(なにこの結論)

ルーシェン

死に戻り前含めると、この人が一番「僕が先に好きだったのに」を言える人ですよね。
2人が幼い頃のエピソードやルーシェンが変わった理由、結構引っ張るのでもっと重要な話かと構えてたらそこまででもなかった。引っ張られるとハードル上がってしまうんだよ。
まぁこの人のエピソードが後に持ち越されるのはこの人に焦点が当たる出番が4人で一番後になるという話の構造上なので仕方ないところはある。

ルーシェン殿下はアナスタシアに殺人容疑がかかっていようともなんならそれが…真実だとしても…アナスタシアの味方に立ってくれるのがクライオス団長とはまた違った頼りがいがありました。
特にアナスタシアがメンブルムにされたとき。もうさ、マヤと団長に濡れ衣着せて死なすの嫌すぎてルーシェン殿下が代わりになってくれないかと最悪なことを思ってたよ。

ルーシェン殿下からの矢印はめちゃくちゃ出てるんだけどアナスタシアが彼に惚れる過程が足りない感が否めない。団長とは前から長い付き合いだし、ゼンとは記憶引き継いでるし、ティレル様とは異端審問官となって行動した時の絆が魂に残ってるからと言われれば唐突さを軽減できるんですが。
まぁでもさすがに心折れたアナスタシアを引き戻したのは殿下あってこそですもんね。殿下はもっと評価されてええですよ。シチューのことで揶揄るとかあってはならんのよ聞いてるかゼン。

カーニバルで「助けを求める」コマンド使った時に「クライオス・キャソロック、貴方の言うことは主観に過ぎない!」とかキレ顔でめっちゃ庇ってくれる(団長のほうが正論なのに…)のと、
FDで 一番動くの難しいやろって立場なのにアナスタシアのため他国にまで来て団長と張り合って店をアナスタシアに買ってあげようとするとこ好き。

ゼン

あの~……救われてほしいし報われてほしい設定ではある。それはそう。普通にええ人ですし。
なんだけども、アナスタシアに惚れるのが早すぎてなんというのかな~
こっちがときめく間もなくなんかしらんうちにいい感じになってるからな~う~ん……
アナスタシアがメンブルムにされた時間軸って、実質ゼンルートであっても厳密にはゼンルートではないからなぁ……あそこではまだアナスタシアの気持ちは定まってない(はず)んですよね。だってゼンルートじゃないから。

アナスタシアに惚れてるゼンというより、団長とかティレル様にめっちゃ懐かれてるゼン好き。なんか団長とゼンとティレル様の3人って一番最初で居酒屋で3人揃ったときの当初の印象よりもずっと、なんなら実の兄弟以上に絆深そうでいいですよね。
なんだったっけ、ゼンと団長がコンラッドの闇組織をぶっ潰そうとしたときにティレル様ともひと悶着あった結果協力関係になったっていう……あのエピソード断片的に聞くだけでも面白そう。

FDでのくっついた後の話、ルーンとイシュがめっちゃ出て来るので好き。アナスタシアがクロムの力を手放さないのってゼンのためだけだから、ゼンルートじゃないと基本的にルーンと会って話せないしイシュもそんな頻繁には下界に顔出さないからストーリーに登場しなくなっちゃうんですよね。
あとゼンルートだとアナスタシアのロングヘア見れるの助かる。かわいい。

なんか、アナスタシアがゼン以外のどの男を選んだとしてもゼンとしては納得であろうし(プレイヤーとしてももちろんそう)祝福できるんだろうなあと思うと切ない。

FDで団長やティレル様が自分の行動についてツッコまれたとき、だいたい「ゼン、言われてるぞ」的にとりあえずゼンに押し付けるの笑う。ゼンは優しいからちゃんとツッコミ役に回ってくれる。

クライオス

めちゃめちゃ色男……。
使われすぎててあんまり安易に使いたくない言葉なんだけどスパダリ……。

最初はひたすら余裕で強くてかっこいい大人っていう印象なんですけど、徐々に繊細な部分もわかってきて、あんだけええ声の色っぽいお兄さんなのに弟属性もあって健気でどこかかわいさもあって……ずるいんだよクライオス・キャソロック!!!
アナスタシアが死に戻りする前の自分が彼女にドレスを贈ったと知れば「俺も買いたい」と言ったり、図画に疎いアナスタシアが描いたへにょへにょの陣を「執務室に飾りたい」と言い笑顔で眺めてたり、アナスタシアが関わることだけ軽率にポンコツ感漂うの好き。

年上女性には可愛い妹のように接して年下女性には頼れる姉のように接するっていうコツ、普通に「なるほど……」て感心しました。こういうのとか、自分の顔と女性評判良いのわかってて実は大いに利用してもいるんだけどそれが別に嫌な感じではないんですよね。

メンブルムにされた人間は倫理観失って殺人衝動に身を任せることになるはずが、団長の場合殺したいほど人を憎んでいない(姉の件があるにもかかわらず)ので アナスタシアを好きという方向に箍が外れるっていうのあまりにも人格者……。メンブルムは超人的な力が使えるわけじゃないって後でわかるので、メンブルム時の団長の戦闘がすさまじかったのって要は魔法関係なく病気治った団長の戦闘力がすさまじいってことですよね?

あとメイルにクラっちって呼ばれて毎回困惑してる様子好き。

全然関係ないけどアナスタシアとクライオスってなんかファイアーエムブレムに出てきそうなキャラじゃないですか。翼騎士。言うてファイアーエムブレムは一作しかやったことないけど。団長は女性とはアナスタシアとしか支援Sならないでください。

ティレル

このゲームについて色々思うところもあったけどそんなんもうどうでもよくなったわってくらい
もうティレル様がいるだけで神ゲーだわとかおよそ使いたくない語彙を思わず軽率に使ってしまう程度には沼…………。

いやずるくない?私的にはゼンよりも運命枠だと思うんですけど?
アナスタシアにとっての運命枠はたしかにゼンと言うのが正しいかもしれないんですけど、あまりにもアナスタシアがティレル様にとっての運命の人すぎる。本来仕えるべき主と言って差し支えなくまともで自分を好いてくれていて自分もまた惹かれるだろうと予測できる。使命と恋人を一番大事にすることが両立するので心置きなく全力注いでいいなんて、突然目の前に現れた幸せですよね。ティレル様が愛せて愛して幸せになれる人とはどういう人物なのかを逆算してアナスタシアが形成されたのではと思うくらいですよ。
本人は「好きな相手を使命よりも優先はできない」的なこと言ってたけど、でもティレル様ってFDのコンラッドのストーリーでどうやら使命よりもアナスタシアを選んだみたいなんですよね……。このストーリーってたぶんまだアナスタシア本人も自分がクロムに関係あるって知らないはず?とするとティレル様って本当に使命を差し置いてアナスタシアを優先することがあるってこと?でもその決断ができた時点でもうアナスタシアも自分も救われる道が残ってない現実を最期の瞬間まで目の当たりにしたであろうティレル様……。

このルートの何が好きってティレル様本人ももちろん良いのに加えて一番アナスタシアのほうから恋してる感じでかわいい。他の3人は振り向かせる必要なく好意向けてきてくれるけど ティレル様って最後の死に戻り後においてアナスタシアと一番接点少ないですからね。
ルーシェン殿下は一応幼少期から知り合いで、クライオスは何年もの付き合いがあるし、ゼンは初対面からずっと記憶引き継いでるし、ティレル様にとってはアナスタシアとの付き合い一番浅い。だから普通ならクライオスみたいに、自分が憶えてない時間軸でアナスタシアとどんなことがあったのかとかもっと質問したり知りたがっても良さそうなもんなのにあんま聞いてこないんですよね。それってティレル様頭回るから断片的な情報つなぎあわせるだけでもだいたい自分がとる行動や心境が推測できちゃうんじゃないかと。でまたそれがほぼ正確に当たってそう。なもんだから、死に戻り前の記憶ないのにあまりそのブランクを感じさせないんですよねティレル様……。

ティレル様って日常的に周囲に対して不遜な物言いなんですけど、暴言と言うほど攻撃的でもなく罵倒と言うほどナンセンスでもなくて毒と言うほど陰険でもない絶妙な加減で全然不快感ないからすごいなーと思います。親しみとセンスがあって軽快な不躾。FDでルーシェン殿下に「殿下ちょっと札束で頬叩いてきてくださいよパンパンって」って言って「リスターは本当に教会関係者なのか?発言のほとんどが反社会的なんだが」て言われてたのほんま笑う。

マヤとの応酬にしても、よくもこんな言い回し即座にポンポン思いついて、頭の回転速いな頭いいんだろうなと感心しかしない。
自画自賛言ったとしてもツッコミ待ちであって(肯定されると動揺するし)別に本心本気で自分の有能さ誇示したいわけじゃないんですよね。「やれることが多くてもな……」ってぼそっと呟いてたときもあったし。知識詰め込むのは考えても無駄なことを考える暇を潰すため……。そういうのではなくアナスタシアのために速攻で料理習得したりアナスタシアの好きな味の料理作ってるときすごい幸せなんだろうなティレル様……。
なんかね、高熱のときに見る悪夢のような半生を過ごしてきたのに、イイ笑顔でイキイキとして鞭を構えて見せるとかおふざけも時にはできるほど明るく自我を保ってくれてありがとう……。
いや普通ならもっと病み荒みきってておかしくないのに、善行することで「バランスをとる」っていう自分のケア自分でやってきてるの賢い。ヒロインにカウンセリングさせるんじゃなくて自分の面倒ちゃんと自分で見てきててえらい。でもそれすら自分のためというより使命遂行のために自分を失えないというだけだったんだよなたぶん……。

頭脳明晰博識有能ってだけでもじゅうぶん強キャラなのにですよ、戦闘力まで高いとかそんなのおいしすぎません???
その強さが、正騎士の実力あるアナスタシアがとても敵わないレベルというだけにとどまらず。国一番の騎士とうたわれるガルダ翼騎士団団長といい勝負するレベル……。それも、あの時のクライオスって病気治ってるんですよね?
文武両道権謀術数なんでもそつなくこなす顔が良くて口が悪くて情に厚くて幸が薄い運命従者とかみんな好きでしょこんなん。

FDタイトル画面の、白い婚礼衣装みたいな服のティレル様めちゃくちゃかっこよくて好きなんですけど。いやティレル様は部屋着姿もイイけど。

私、あんまり声つながりだけで別のキャラを重ねたりしないようにはしてるんですけども
ティレル様は声に加えて生い立ちとかウスノロとか色々重なることが多すぎてどうしても うちはサスケさんがたまに脳裏をよぎってしまう……いやしかも好きなんですよサスケの声。

余談

DLCがけっこう出てるんでね~……買いたいんですけど全部買うとけっこうゲームソフト1本分くらいの値段になるんですよねー……買うとしたら全部買いたいし……
うーん……いや買いたいは買いたいんですけど……
でもレッドベルの慟哭も買うつもりだし……
セール価格で気になるソフトもあり……
もしスイッチ2が入手できれば(ちなみに今のところ抽選全敗中)買いたいソフトが他にもあって……
うーん…………

という感じです。今。
いずれにせよ買うと思うので、そのうち感想追記してるかもしれません。
ではでは~。

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