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レッドベルの慟哭 感想

このページは『レッドベルの慟哭』の感想ページです。

ネタバレなしレビュー

主人公は家族をヴァンパイアによって殺された過去をもつ、腕の立つヴァンパイアハンター。ヴァンパイア世界へ討伐に行く隊のひとりとして招集され……というストーリー。

同制作会社の過去作『even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女』をプレイしたことがある人であれば想像しやすいと思いますが本作も同じく、大きな一本道のストーリーを進み物語全体のエンディングを一旦迎えた後に、4人のメインキャラと恋仲になる個別恋愛エンドが見られるといった構成。
恋愛エンドに攻略制限はなく、本筋をクリアすれば任意の順番で見られる。
その他、メインストーリーから分岐する悲恋エンドが各メインキャラ分4種。選択肢やミッションパート失敗による小さなバッドエンドは無数にあり。

2025年6月16日まで10%オフなので気になっている方はお早めの検討をおすすめします。

以下はネタバレ感想となります。クリア後の閲覧を推奨します。

雑感

ほうほう……ふむふむ……なるほどなるほど……。
なんか読んでて、『ひぐらしのなく頃に』と『うみねこのなく頃に』を足して割ったようなストーリー構成だなーと思ってました。しかも出題編と解答編を1本に凝縮して駆け抜けるのでめっちゃせわしない。何度も強制バッドエンドを通ることになるので途中さすがに「もうええて……」て飽きが来る瞬間ある。
主人公のジュリエットが、武闘派で著しく諦めが悪い古手梨花さんといった感じ。地味にメンタル強い。というかフィジカルに裏打ちされたメンタルなのか。心技体。
いやもちろんひぐらしうみねことは全く違う物語なんですけど。破滅回避っていう目的地と、物語をゲーム盤のように俯瞰する視点がある構造っていうのが似てるなぁと。

私序盤の方、ギャレットとアシェルが人狼ゲームで言うところの人狼陣営っぽいなと感じてまして。でもヘーメレー(村人陣営)の勝利がハッピーエンドにつながりそうかというとそうでもなさそうよなとも感じるわけで。そうするとジュリエットの、この作品の「勝利条件」ってなんだろう??っていうのを探っていくことになるので読み進めるのがおもしろかったです。

テン魔女と同じで要は共通ルートがめちゃ長くて最後にちょっぴり恋愛エンドがある感じなんだろうなと、メインストーリー進めながら予想というか覚悟してたんですけど。いざ恋愛エンド見てみるとジュリエットが相手に惹かれる過程もちゃんとしっかり描いてくれてるなーと感じました。

このゲームは一本道の中に4人分のフラグがぐちゃぐちゃに絡まりながら進行するので 悲恋エンドの回収がめちゃくちゃ面倒でした。
途中途中のすごろくみたいなミッションパートも、たぶんゲーム性を入れようとしたんだと思うんですけど正直 おもしろくないゲーム性要らんのよ…………。いや作ってる人もこのすごろくパート本心から面白いと思ってるわけじゃないでしょ?水増しでしょ?水増しならやめてください頼むから。私だって言いたくないんだこんなこと。

あとこれ個人的にすごく気になるんですけど、BGMのループ終わりがシームレスじゃなくてブツ切れでよく気が散る。曲止まった?演出?って思ったらただのループ終わりだったっていう。この会社のゲーム全体的に音量大きすぎないですか?OPムービー爆音でびっくりする。

ギャレット

最初ニュクスに突入する辺りまで、ギャレットとアシェルがいわゆる人狼陣営……ギャレットが人狼で、アシェルは人狼というより狂人っぽい立ち位置な気がするなぁと予想してました。
そしたらアシェルに関してはわりと当たりでしたがギャレットはただのロマンチストだった。疑って悪かった。

この人、戦闘スペック結構高いはずなんですけどあんまり強キャラ感の貫禄ないのなんでなんだろう。メンタルかな……。ヒロインのジュリエットより脆いですよね。悲恋エンドとかこの人のよくないとこが出てたよよくないとこが。

これ以外に思うところが特にないですね……。食べられへんことはないけど味せえへんな……という感じでした。

どけ、俺はパン屋の店長だぞ!

キーラン

序盤も序盤で退場して以来、「次にこの人が出て来るときは勝ち確演出を背負って来るんだろうなぁ」とは思ってましたが まさかここまで正真正銘クライマックスの真打で、そこまでほぼ登場しなくなるとは……。

これキーランの恋愛エンド、とってつけたような感じになっちゃわない??って心配してたんですが さすがにメインストーリーで登場機会が限られてたキーランだけは、実質個別ルートが用意されているぐらいの感じでしたね。
正直期待値あまり高くないキャラだったんですけど、キーランってなんかこう メインヒーローというよりこの作品における裏主人公みたいな感じがしてきたというか……。キーランがジュリエットのこと好きになってからの様子見てると、テイルズとかペルソナの男主人公から一番特別に大事にされてうれしいい~!!!ってなるヒロインとか仲間キャラ視点の気持ちになります。主人公くんが私のこといちばん好きって言ってくれてるう~!みたいな。たのしい。

キーランって、これまでにジュリエットがアシェルやギャレットやロドスとも絆を深めてたことも知っているはずなので 彼らに対する危機意識も持ってたらいいな~と思います。
キーランの悲恋エンドで、ずっと後に双子として生まれ変わったかのような描写があって、それだと「恋仲になられへんからあかんやん!!!」て私思ったんですけど 悲恋エンドだと、キーラン的にジュリエットへの想いを恋とははっきり意識できてなくて「とにかく一緒にいたい、それこそ生まれる前からでも」っていう想いだけが強くてああいう形になったのかなあ……と。でも恋愛エンドだと、ジュリエットと姉弟などではなく恋仲でありたいという意味で好きって認識できてるって違いがあるのではないでしょうか。
なので、アシェル、ギャレット、ロドスの3人に対しては「こいつらジュリエットに気がある…」てことは認識してるといいです。まぁ、この3人はジュリエットちゃんがもう他の男をわかりやすく好き好きなのが見えてるのに負け戦をして馬に蹴られる道化になりたくない賢いタイプだと思うので静かにしてると思いますけどね。ジュリエットが相手の男とかなりこじれてめちゃくちゃ傷ついた状態でいたらあるいは自分のほうが彼女のこと大事にできるってなるかもしれませんが。でもみなさんそれぞれジュリエットちゃんのこと大事にしてるのでそういうことにはならないと思います。

アシェル

いやー今回も岡本さんいつもお世話になっておりますー。直近で私がエンカウントした岡本さんキャラだいたいなんか死と隣り合わせのような運命背負っておられますね。

序盤のアシェル、初見でもあやしく感じたので表情注視してると、他の人が話してるときにも細かく表情変わってることがわかるのでなんかもう疑わしいを通り越しておもしろかったです。いやあの時点のアシェルは焦燥と緊張の中必死だろうし、裏切り暴かれたときなんかは痛ましいほどなんで笑い事じゃないんですが。愉悦を感じててごめん。

デフォでヒロインが好きなタイプの幼馴染でしょ?と思ってたので、序盤でジュリエットを殺そうとしてでも(迷いは生じてましたが)ヴァンパイア側に味方しようとしてたの見て驚きました。「えぇ!?そこは乙女ゲーキャラとして、ジュリエットを殺してまで生きたくない(キリッ)って言うのが普通ちゃうの!!?」って。逆に新鮮だったというか、イイと思いましたよ私は。
いや本気でジュリエットを殺してでも生きたいと思ってたら感じ悪いですけど、アシェルの場合、冷静に利己的にそうっていうわけじゃなくて それほど追い詰められてたんだな、っていう事情が汲めるので。アシェルが本来生きたかったのはジュリエットがいる未来のはずなのに、そのジュリエットを殺さなきゃ得られない未来を生きれたとして、本末転倒じゃないのか?って私思ったんですけど……でもアシェル的に、今回再会するまで何年もの間に恋心を封じ込めてたのかなと。指輪のこととか忘れてなかったし、恋心を捨てたわけではなかったんだろうけど、自分の運命を知ってからはその想いを持ってるのも苦しかっただろうから……。とにかく追い詰められて混迷を極めてた結果の行動なんだなというのは同情できる。

メインストーリー中そんなに戦闘で活躍する場面はないものの、アシェルも凄腕ハンターに数えられる1人なわけなので、しつこいナンパ野郎とか尾行してきた不審者への対応がサラッと強くてイイです。

恋愛エンドなんですけど
ふたりの実家に帰ってきた夜、別にアシェルから請われたわけでもなく 純然たる自らの願望によってアシェルの部屋に自ら行ったジュリエットちゃん最高ありがとうよくやってくれた

単体だとロドスが一番好みかなーと思ってるんですけど、ストーリーとCPだとアシェジュリが一番楽しめた気がしてます。

ロドス

ロドスに興味があったから購入したと言って差し支えないですよ実際。いや私、河西さんの乙女ゲーキャラ攻略したことないなって思って。それで興味あった。鬼滅の刃で河西さんキャラが鬼殺隊側にいるんですけど今作だとヴァンパイア側にいるのもおもろいなと思って。

アシェルが人狼ゲームで言うところの狂人なら、ロドスはその逆の人狼陣営と見せかけて村人陣営に協力してくれるようなキャラなのかなーと思ってました。当たらずとも遠からず。

第一印象的にもっとこう近寄りがたい孤高の貴公子的な印象を持ってたんですけど、別にそんなことはなかった。お花を好んで食べる、笑顔がめっちゃかわいいひと。おひつじ座。
ヴァンパイアでいう20歳くらいらしいので精神年齢的にはジュリエットとそんな変わらないっぽい。

この作品のヴァンパイアって人の血が生命維持のために絶対不可欠ってわけじゃなさそうなんですよね。人の血を飲まないと耐えがたいほど飢えるとか生死にかかわるって感じじゃない。血以外ものも飲み食いできるし、血以外のものを感じる味覚もあるし、花などから生命力を得られればいいみたいだし。
だから、「生きるためやし吸血せなしゃーないやん」VS「絶対いや。やられる前にやる」っていう争いが発生しないのでそんなに異種族の対立構造って感じがそんなに色濃くなかったですね。

ジュリエットがヴァンパイアになるっていうのはロドスもジュリエットも望まないと思うのでそうなるとロドスが人間になるかならないかって問題にこれから向き合っていくことになると思うんですけど どうなるんだろうなー。
ロドスを人間にするっていうのはずっとヴァンパイアだったロドスを否定することにならない?ってジュリエットちゃんが悩みそうな気もする。かと言ってロドスがヴァンパイアのままだと、生きる時間がどうしても違ってくる……。ジュリエットちゃんがこの先もっともっと美しく成長したときに隣に並んだロドスが年下の男の子みたいに見えてきちゃうというのはロドス嫌がりそうな気がする。ジュリエットに気がありそうで彼女と近い年齢の人間の男がわりと周囲にいますしね……。まあなんにせよ 一応悲恋エンドでもいちゃいちゃはあったけど恋愛エンド後の初めてのいちゃいちゃもぜひ見たいところ。

その他

ちょっとジュリエットちゃんについて語っておきましょうかね。
私今作買おうと思ったのジュリエットちゃんが好みだったっていうのもあって。
最初見たとき「わァ~♡少年漫画とかラノベのヒロインにいそうな利発そうで小生意気そうな娘さんだァ~」て思ってました。
また得物がさ、単に弓矢とかボウガンじゃなくて針っていうのがオシャレ。ジュリエットちゃんって姓がローズじゃないですか。バラの棘みたいなイメージでカッコイイ。うちのジュリエットちゃん美しい上に強いやろってドヤりたいときにロドスが「美しい薔薇には棘があるからね」ってにこにこしながら言って欲しい。
そういえば、エンディングムービーでジュリエットちゃんが弓に矢をつがえて撃つアニメーションの部分すごく好き。ああいう、イラストをアニメーションにしてあるのすごいなっていつも思う。

あと正直な話、ビジュだけで言ったらフリンが一番好みです。フリンかわいいよフリン。
名誉のためにハンターやってるとのことでしたけど、どうもあくまでそれは家のプレッシャーを感じてのことであって本人的に別に名誉をそこまで重要視してないっぽいんで、そういう価値観に凝り固まってるわけではないというか……意外に融通きくし順応早いんですよね。ギャレット4章から唐突に分岐する、ニュクスでパン屋さん開店して繁盛するエンドおもろすぎやろ。フリンも含めみんなノリノリで営業してて笑う。コイン集めて開放できるスペシャルストーリーでは、フリンがジュリエットにちょっと気がありそうな素振りを見ることはできてそれはちょっと満足。今気になってフリン何歳なのか確かめてきたんですけど18歳、ジュリエットちゃんより年下なのか……ええやん……

あとロデリック殿下は10年後に期待ですね……フフ……

というわけで、フリンと恋仲になれなかった無念を胸に抱いて、次に私はルーンファクトリー龍の国に行って同じ声帯してるイカルガさんと結婚してきたいと思います。いや牧場物語系は一旦始めると時間消えるから後に回してたんですよ。

わりと最近やった同制作会社のテン魔女感想もあります
(2025年6月18日まで無印とFDの二作が50%オフなので未プレイの方はおすすめ。)

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