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マネーパラサイト ~嘘つきな女~ネタバレ感想

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このページはニンテンドースイッチゲームソフト『Money Parasite ~嘘つきな女~』の感想ページです。

全ルートのネタバレを含みますのでクリア後の閲覧を推奨します。

アミル

前情報そこまで仕入れてなかったし序盤は裏表や思惑が本当にないのかっていうのが確信持てないので、途中までかなり警戒してました……。ハンターハンターで言うところの「操作系能力者に操作されている可能性も消せない……」ぐらいの感じ。気分は37巻のセンリツですよ。
いやだって、十萌ちゃんがやろうとしてることといったら、騙した挙句に金をむしり取ろうとしてるわけじゃないですか。後ろ暗いにも程がある。
アミルさんて十萌ちゃんのマジックでもイカサマでも薄々タネに気づいてるような様子がうかがえるのにのに、物腰はずっと温厚だから底知れなくてなんか疑わしく見えたんですよ……

そしたら言い寄ってきてたのは本当に単に惹かれたからだし運命の人とか言ってたのもずっと全く何も他意はなくガチのロマンチストでいい人だったという……。疑ってすみませんでした。
攻略キャラの中では精神的に大人で落ち着いてるほうなんだけど文化的な制約があるのでほっぺチューすらないっていうギャップ。
そういえば、後朝の別れとか偕老同穴とか、日本人ですら「なんて??」て聞き返すしかできない日本語をよく使ってましたね。良かった。アミルさんが日本語学習に使った参考文献が「朝チュン」とかを使用していなくて良かった。田中さんに聞かせたら腹筋破壊できそうだけど。

終わってみると多分一番ヘビーなバッドエンドが初回収のエンドだったので、想定してたより救いがなくて「うおお……」てなってました。
でも全キャラ終わってみて思うんですけど、アミルさんのエンディングはバッドも含めて全部アミルさんから十萌ちゃんへの愛に満ちてるしお互い大切に想い合ってるのが全て変わらないのがいいですね……。(田中さん聞いてますか?)
マジックルートでさえ、確かに相手をつなぎとめるためのことをお互いが黙ってしてますけど、他に比べればほんの少しのことですし、仄暗い感じが少ないというか。
ロマンスルートの、十萌ちゃんが機転でマジックを使ってアミルさんにだけ意図を伝えて時間稼ぎするところすごく良かったですね。十萌ちゃんの特技で恋人の窮地を救う。そして誰も傷つけない。華麗で痛快。たぶんこれには田中さんも満足の面白さだったのではと思う。

個人的に、別にいつでも誰にでも優しい物腰なわけじゃないところがイイなと思いました。「今すぐ君の知り合いを辞めたくなったよ」みたいなことをモブに冷たく言い放ってたとこ好き。
虫けらでも見るような目で見られたい。(←M)でもアミルさんは雰囲気的に生きとし生ける物全般好きそうな気がするから虫のことそんな蔑む目で見たりしなさそう。そしてそういうところも好き。イカサマに対して「見損なった」とかガチで見限られてたら普通にダメージ受けてた(私が)と思うのでアミルさんが思慮深く慈悲深い人で良かったです。
あと好感度下がらないところも好き。優しい。

楓真

私は楓真くんの後にジェレミアをクリアしたんですけど。ジェレミアが十萌をヒロインとして想定した歌を作るときに、相手の男像として『年下で彼女に甘える、彼女からも甘えやすい』というようなイメージを思い描くんですよ。そのとき、「楓真くんそのものだ……!」と思いました。
「十萌を癒すためには」と想定して歌を作ろうとしていた、それが当たっていたとすると十萌ちゃんが一番癒されるのは楓真くんみたいなタイプ……。
十萌ちゃんがふまさんをガチ推ししてることを考えるとやっぱり当たってると考えて良さそう。

楓真くんのバッドエンドはまだ未来があるというか、十萌ちゃんが諦めない限り希望があると感じられる終わり方でいいですね。このエンドの十萌ちゃんカッコイイ。楓真くんのエンディングもアミルさんと同じで3つ全部お互いへの愛があるところがいい。
マジックルートの楓真くんのモノローグの意味をしばらく考えてたんですけど……楓真くんはこの二人の世界に十萌ちゃんを束縛しないようにしてはいるけど、十萌ちゃんがこの二人の世界に戻らないようなことがあれば束縛してしまうだろう、ってこと???まぁ、束縛しなくたって十萌ちゃんがむしろ楓真くんを独占したい欲望に囚われていることも知ってるしな……。

なにせ十萌ちゃんの推しなので、『ふま』としての側面が大きく取り上げられている楓真くんですが、ロマンスルートで船内で入手できるものを使ってちゃちゃっとドレスを仕立てたというところが個人的に格好良かったです。ぱっと見てだいたいの寸法がわかったというところ、そこはぜひもっと深く掘り下げて欲しかったですラブコメ的な意味で。十萌ちゃん結構スタイル良くて可愛いですよね……。

ジェレミア

なんか、個人的に萌えはなかったけど、1本のいい感じの恋愛映画を観終わったような……そんな読後感でした。
好感度めちゃめちゃ細かく区切ってくるのこわい。-2って。すごい試されてる。
でも普段着で豪華客船に乗り込んで十萌ちゃんが恥をかく前にフォーマルウェア(ブランドもの)を無償で提供してくれためちゃくちゃ優しい人なんだよなぁ。それは本当最初から信じられた。

ジェレミアは本人別に苦じゃなくずっと王子様を演じてて、素を感じられるときが少ないというか。別に王子様を演じてるときが全部嘘っていうわけでもないんだろうけども……。
だからジェレミアはマジックルートが一番本人の素が生々しく見える気がしてわりと好きですね……。
十萌ちゃんに誘われるままに一線を越えてしまう……お金で十萌ちゃんを買うと言ってしまう……およそ『きれいな王子様』がしないことしてるときのジェレミア良いですね……。
でも思えば、十萌ちゃんも『きれいな長女像』を演じているとも言えるわけで、さらにキツネとの取引のために『好かれる女性』を演じようともしてる。そう思えば、この二人って鏡合わせみたいな組み合わせだったのかなぁ……とか。十萌ちゃんも、ジェレミアのマジックルートではこのどちらの自分も脱ぎ捨てているように見える。マジックルートのふたりの爛れた関係は単に身体だけじゃなく精神的なものでもあると考えるとエモい。
ロマンスルートでちゃんと『皆の王子様』ではなくなってから迎えに来る誠実なジェレミアも好きです。

なんとなく浮かんだイメージ曲が、スガシカオのアシンメトリー。ジェレミアさんて見かけほど内面がキラキラしてないですよね。そういうとこ味がある。

浩然

最序盤にある幼馴染の情報とライターのデザインはせめてルート入ってから知らされたかったなー。初対面なのに面識がある時点で「あ、はいこの人」ってまるわかりだったので。もうちょっと「なんで面識あるっぽい反応なのよ誰よこの人?」っていう疑念を味わいたかった。もしくはミスリードにかけてめちゃくちゃに(プレイヤーの)情緒を振り回して欲しかった。

便宜上好感度ゼロから始まりますけど実際はスタート前から∞状態と思われるのでこのルートの好感度は【浩然→十萌の好感度】ではなく【十萌→浩然に対するときめきの導火線】だと主張したい。
だからバッドも足りないのは好感度じゃない、ときめきの導火線なんですよ。(?)
マジックルートはね……何気に、「……これ後で田中さんの命ないんじゃない?」と思ってさすがに後味悪さも感じましたね……田中さんルートクリアする前でしたのでね。
浩然さんのどこが良いって、マジックルートでも十萌ちゃんへの純愛は変わらないし何より十萌ちゃんのマジックへの夢をともすれば本人よりも覚えていて大事にしようとしてくれるところですよ……。
マジックルートの終盤で十萌ちゃんがイカサマしたとき浩然さんがどういう表情をしていたのか明言されてませんが……お酒に酔っていたのはフリだったように思える。序盤にわざわざ酔ったフリをしていたシーンを入れているわけですし……。
とすれば、『あのタイミングで浩然さんはなぜ酔ったフリをしたのか』ということが気になってくるわけですが。
勝てば十萌ちゃんは浩然さんとともにあるために仄暗い世界についてくることになるわけで、やっぱりそれを浩然さんは望んでなかったんじゃないかなぁ……。想いを通わせた直後こそ「もう離せない地獄までも連れて行く」と言ってはいたけど。やっぱり陽の当たる世界で生きていてほしかったんだよ……。
ロマンスルートの「あなたの居場所は私がつくればいいんだから」ってプロポーズみたいなこと言い出す十萌ちゃんカッコよかったですね。さらに責任取るって言って唇を奪っちゃう。スタンディングオベーションものです。ここのキスシーン最高に良い……自分からキスしに行っといて、甘受されてあわてふためいてる十萌ちゃんかわいいし。あと吐息とキス音しっかり入ってるんですわ。「ん……(チュ)」って。スタンディングオベーション。

キスシーンの次に個人的に好きなシーンは、両想いになる前、手を引かれてデッキに連れて行かれて、帰ろうってなったとき。行きに手をつないでいたからと十萌ちゃんが思わず手を差し出したら(そうはならんやろ)、浩然さんが何も言わずその手をつないで歩きだして、十萌ちゃんがどきっとしてるシーンですね……。浩然さんはこの後自室に帰った後どういう顔をしてるの?キスシーンの後もそうだけど。というかキスシーンの後、よく十萌ちゃんを泊めずに帰したね?鋼鉄の理性かな?
正直、浩然さん以外のキャラは別に十萌ちゃんでなければならない理由はないんですけど浩然さんは十萌ちゃん以外の誰かは必要としないと思うので、文句なしに一番推しですね……。
ロマンスルートでひとつ思ったのは、本当のご両親に、せめて生きてることだけでも伝えてあげて欲しいなと……。ゴールデンカムイの月島が言った台詞を思い出した。「どんな気持ちであんたを待ってるか……どうしてそんな残酷なことが出来るんだ!」って……。大事な人が今の自分の居場所だから戻らないし会うつもりもないとは伝えて、でも確かに今元気にしていると伝えたら、それだけでご両親の気持ち大分楽になると思う……。
とにかく、十萌ちゃんと末永くお幸せでいてほしいです。

田中さん

マフィアの縄張りを荒らすような危険な橋を渡ってまでこんな舞台を用意し綿密な調査で金持ちシングル美男子を集め、ディーラーに十萌ちゃんを選んだ理由……本人に自覚がなくとも『畑中十萌の幸せのため』なのでは、と推測してたんですよ。
金持ちを集めて普通の女の子に騙させるというだけなら、理由が『面白いから』の一言でもまぁわかるけど、マフィアを敵に回してまでやってるとなると、「面白いだけで命まで賭ける!?」て思うじゃないですか。
だから、好きな子のためとかならそこまでするとしてもまぁ頷けるかと思ってたんですが……。
本当に、面白いからだけでした……シンプルに酔狂なだけでした……。
浩然さんに目をつけたのは十萌ちゃんの存在が先にあったからではないようだったし、十萌ちゃんに目をつけたのも単純にマジックができる人材に当てはまったからのようだった。各キャラルートでたまに水を差してくるのも、面白くするため以外の他意はなさそう。
フォックス2号が十萌ちゃんの思い出深いキャラにそっくりなのも、意味があったとしても別に十萌ちゃんに関係は無さそうというか深い意味は無さそう……。実は昔マジックをやっていて十萌ちゃんは覚えてないけど教えたこともあってでも何かの理由でやさぐれてマジックを捨てて……みたいな壮大な妄想をしてしまってたわ。

田中さんが想定していたシナリオは多分各キャラのマジックルートに近い感じだったのでは。
愛がわからないとか言うわりにはなんかこう男女の泥沼愛憎劇をよく仕立てようとするよねこの人。しょせんこんなものだろうという諦め?のような何か?を裏切ってほしいのかな。うーん……。
だとしたら各キャラのロマンスルートは予想を裏切るしかも面白い展開で、まさに自分が望んでいた状況になったはずだけど、たぶん田中さんてロマンスルートみたいなハッピーエンドはそれはそれで『面白くない』ってちょっと思ってるんじゃないの、って思う。この『面白くない』の理由が本人も知らないうちに潜在的に十萌ちゃんを愛していたから、だったら情緒かき乱されたんだけど。多分違いますわ。
彼の言葉を借りて言わせてもらうなら、田中さんのマジックルートこそ『面白くない』ので、誰か十萌ちゃんの身も心も奪い去って欲しいものですね……田中さんもその方が面白いのでは?
人間の業を見物したいっていう悪趣味、正直わからないでもないといいますか同意できる部分あるっちゃあるんですけどもね。田中さんは筋書き通りに行かなかったときに喜ぶ時と逆ギレする時があって、そこがダブルスタンダードに見えて格好よろしくないなーと思って残念でした。もっと貴方は私の情緒をめちゃくちゃにしてくれそうだと思っていたのに……。

でもね十萌ちゃんが本物の王子様や世界的アイドルや推しや初恋の人と結ばれる機会を用意したのは間違いなくこの人なんですよね。結ばれた世界では足を向けて寝られませんよ。あっそうだ結婚式を挙げたら十萌ちゃんたちは二人の結婚写真がプリントされたグッズを送りつけ……いえ差し上げるべきですね感謝の意として。

あでもスタイルには多少情緒乱されましたよ?まぁ衣装の関係もあるけど……私はシャツにベスト姿の胴回りと肩から腕にかけてのラインがめちゃくちゃ好きだから……あと手首の絶対領域。

特に何の伏線も無かったので本名があったとしても別にそれが明かされることに意味はないと思ってましたが、明かされもしませんでしたね。正直、プレイヤーとしては別に知る必要はないけど十萌ちゃんには教えてあげてもいいじゃないのさと思うけど。そういうことしてるとな?呼んで欲しくなったその時には十萌ちゃんは先にお星さまになってしまっていたとか運命にイタズラされても知らないぞ?

あ、あとフォックス2号のしゃべりがクセになる。ずっと煽ってくるの嫌いじゃない。ボクと契約してイカサマディーラーになってよ!

その他

Liar Princess Cruiseという船の名前が好きなのでこれがタイトルでもオシャレで良かったなと思います。いやマネーパラサイトは、意味はドンピシャではありますけども……直球どころか剛球かな……!と。

十萌ちゃんのキャラデザかわいいですよね好きです。特に瞳がアメトリン色なのめちゃくちゃかわいい。
キャラデザだけじゃなくて性格も好きです。ルートによっては『きれいな長女像』を脱いで自分本位と言われても仕方ないような振る舞いになりますけどもそれほどに彼女がそれまでずっと重責に耐えてきたのだと思えば責める気にはならない。
「頑張ったね」とか「よしよし」とかされると、心配になるほどにちょろいなと思ったんですけども、もうそんなところも愛おしい。弟や妹は変なやつにほだされないか心配してると思うし、田中さんルートでは遺憾ながらそうなってしまった。

全体の感想としては発表からもう買うつもりで楽しみにしていましたし、プレイしてみても満足できました。
3種もエンディングあるしこの1作で綺麗に完結してるので続編は難しそうだなと思うんですがエンド後のいちゃいちゃがもっと見たくなるほどには良かったです。でもTAKUYOさんの乙女ゲ好きだから新作も出て欲しいんだよなぁ……
もっと売れて欲しいので、もうちょっとこうとっつきやすいタイトルにすればいいのになあ。カエル畑でも思いましたけど。いやいけそうと思った人は買うでしょうけど、もっと間口を広げたらいいのにというか。
あと多言語対応(英語版とか簡体字版とか)するとかですかね。これは、多言語の恩恵を受けないユーザーには関係ないし時間が割かれて新作作る時間がなくなると思うと残念ではあるんですがそれ以上に会社に儲かって欲しいというかですね……。カエル畑は結構日本独特の要素が多い作品だしコメディも多いし細かいニュアンスの翻訳難しい気がするけどマネーパラサイトは全体的に翻訳しやすそう。
もしローカライズするならSteam版発売もですね。
なんでこんなことを思うのかというとですね、制作者インタビュー読むの好きで色々読むんですけど、ファタモルガーナの館の制作者さんのを読むと、Steamの英語版の売上でなんとか助かったようなもの的なニュアンスのことを書かれていたりして。それがなかったらもう制作をやめてしまっていたかもしれないとか思うとぞっとするわけなのです……

とまぁ、よりたくさんの人にやってほしいくらい楽しめたゲームでした!
はぁ~知らぬ間に公式サイトにクリスマスボイスがアップされてるじゃないですか~甘々しかなくて最高だなぁもう。え、田中さんはって?そんな名前のお菓子はまだ食べたことが無いですね

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